2012年12月28日金曜日

アスリートと食の栄枯盛衰

【All About News Dig】連動エントリー

年末年始には、あちらこちらでアスリートの去就が取り沙汰されます。

・とうとうプロ野球の松井秀喜選手が、現役引退を表明してしまったり(http://sankei.jp.msn.com/sports/news/121228/mlb12122807200001-n1.htm )

・現在、日本人唯一のF1ドライバー、小林可夢偉選手が、2013年シーズンのF1参戦を断念し、「2014年を目指す」と言ったり(http://response.jp/article/2012/12/18/187277.html )

・サッカーのゴン中山こと、中山雅史選手もチャリティマッチで引退ゴールを決めてみたり(http://www.sanspo.com/soccer/news/20121226/dom12122621410006-n1.html


栄枯盛衰は世の習いではございますが、とりわけ年末年始には人やモノ、トレンドの往来が、各界で注目されがちです。

そういえば12月に、恒例となる翌年の食トレンド予想を書いてみました。

「来年は牛、豚、鶏に続く「第四の肉」がブレイクとの予測あり」
http://www.news-postseven.com/archives/20121216_160181.html

「予測」というほどのものでもありませんが、絶妙なタイトルをつけていただいたおかげか、某巨大掲示板などでステマステマと騒いで頂いたようで。

http://matomelog.ldblog.jp/archives/21336937.html



2012年初頭から続く、なんでもステマ呼ばわりというトレンド健在に思わず目頭2:50です。大変申し訳ないことに、上記挙げたものの周辺の方々からは、いまのところご発注めいたアレコレはございませんが、せっかくステマ認定していただいたので、今からならステマにもならないと思われますし、この新年を楽しく過ごせそうな気もいたします(僕が)。どうぞよろしくお願い申しあげます。

あ、例によって話がそれました。こうした書き込みを見るといつも不思議な気持ちになります。踊る気もないし、もっと言えば踊りに興味もないのに、「踊らせられる」のをやたらとイヤがる方が少なからずいらっしゃいます。あれが噂に聞く「損したくない」「ムダなことをしたくない」というイマドキマインドなのでしょうか。うーん、踊っちゃえば楽しいかもしれないから、なるべく踊らせていただこうと思ってしまう僕は昭和ですかそうですか。ええ、だって、MOTTAINAI!

関係ありませんが、予想と言えば以前予想させていただいた案件で、取材+データ渡し→先方が原稿作成→僕が原稿確認をしたところで、とある調子くれてらっしゃる団体さんから「俺たちも噛ませろよ」的横やりが入り、校了直前にパブ同然の内容に改変されるという、周囲の誰もが迷惑するゴリ押しを力任せにされたことがありました。ちょっと名前が知られるようになると、カン違いされる方もいらっしゃるようです。裏工作ばかりしてると、寂しい老後になりかねないので、ぜひ頭をお垂れになられることをおすすめします。2013年もどうぞよろしくお願い申しあげます。

炎上社長が評価する「まっとう社長」

【All About News Dig】連動エントリー

社長が選ぶ2012年最優秀経営者、JALを再建させた稲盛和夫氏がトップ
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1212/11/news083.html
だそうで。どうやら2010年に会社更生法の適用を申請し、上場廃止した日本航空を、わずか2年で業績を回復させ再上場させた手腕が評価されたとのこと。確か就任した当初、各方面から「なぜ、引き受けた!?」と驚嘆を持って迎えられた超乱気流&大炎上案件を、なんとか着陸させたのは相当にすごいことなのでしょう。


ところで「炎上」と言えば、飲食業界にも「ロードサイドのハイエナ」という、人を食っ……いえ、キャッチーかつユニークなニックネームを持つ飲食チェーンの社長さんがいらっしゃいます。「ステーキのけん」などを手がける、エムグラントフードサービスの井戸実社長。歯に衣着せぬ暴言すれすれ……というか、時にはアウトに思えるような振り切った発言で、少し前まではよくTwitterやBlogで炎上してらっしゃいました。

・炎上上等!な「ステーキけん」井戸実社長の発言まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2133475884685511701

ところが、こうした強い発言は半分反射神経、半分は芸風であらせられるようで、メルマガになると多少テイストが変わります。コメントの調子が強いのは相変わらずですが、そこかしこに「おっ!?」と思う、受け答えがあったりします。

・<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ
http://www.mag2.com/m/0001308870.html

上記URLのサンプルに読者からのこんな質問がありました。


>この飲食系FCに加盟したのに成功しないのは能力なさすぎ!
>っていえるほどの実力がある飲食系FC(外食・居酒屋)を
>3社ほど挙げてもらえませんか?

ロードサイドのハイエナさんは、こんなふうに答えています。

>なんか難しい日本語を使いますね。
>要するに加盟する価値のあるFCパッケージって事ですか?
>確かFCはやってないけどライセンスで

>APカンパニーさん
http://www.apcompany.jp/
>の塚田農場は良い業態ですね。

>あとは物語コーポレーションさん
http://www.monogatari.co.jp/
>のFCは結構良いと聞いてますが、
>初期投資が重たいから個人とかじゃ取り組めないよなぁ。

>今はそれぐらいしか知らないなぁ。
>ってか無いなぁ。


このところ、弊ブログにひんぱんに登場する、塚田農場さんがまた登場してしまうわけですが、僕が「おっ!?」と気にかかったのは、塚田農場のくだりの前後でした。

まず導入の
「なんか難しい日本語を使いますね」
「要するに加盟する価値のあるFCパッケージって事ですか?」
と続けるあたりが、絶妙にうまいさじ加減でございます。どこまでワザとやっているのかは知るべくもありませんが、「端的に言えよ」というお気持ちがにじみ出ていらっしゃいます。

勝手に意訳させていただくなら「この皮肉がわかんねえなら、まあいいや」「念のため確認するけど、俺、誤解してないよね」ということでしょうか。実際、第三者から見ると、大変親切なご対応に見えます。

一方、この皮肉が通じなければ質問者は「おお。俺の高い日本語力が読み取れないのか」と鼻高々で勘違いをするかもしれません。その場合は放っておけばいいでしょう。仮に皮肉だと捉えられても、きちんと回答もしているので、相手がお怒りになるのは無理筋ということになります。また、皮肉だとバレても、相手に受け入れる謙虚さがあるようなら、どこかでご縁があるかもしれません。実にうまい。

上記のNAVERまとめにも「マーケットの対象じゃない人たちにいくら言われようが関係ない」というコメントがありますが、仮にこのお相手が「対象じゃない」とすればそりゃそうです。利害関係のない誰に何を言われても、全力でスルーすればいい。もともと"暴言キャラ"なので、何を言っても「ああ、またか」で済みますし、噛みつかれても叩き潰せる材料はしっかり確保してていらっしゃいます。

それにしても相手から非難される可能性を潰す技術のある井戸社長と、そんな井戸社長が評価するAPカンパニーの米山久社長は実際のところ、どんな方なんでしょうか。いずれご尊顔を拝見しつつ、その薫陶を受けてみたいと思います。



2012年12月21日金曜日

塚田農場(その2)と教育とホメゲー

【All About News Dig】連動エントリー

先日、「行列のできるエヴァンゲリオンと塚田農場」てなエントリーをしてみました。その塚田農場、「ゲーミフィケーションを取り入れた飲食店」として飲食業界に名を馳せていらっしゃいます。

初来店時に「主任」の名刺がもらえ、来店を重ねると課長、部長、専務、社長、会長という風に昇進するシステムになっていたり、帰り際のほどよく酔った客に「携帯にシールを貼ってもらえませんか」と、ミニスカ浴衣の店員さんにオススメしていただけたりもします。

店員さんのユニフォームにどことなくコスプレ感があったり、客との距離感が近かったりもします。こすいたサービスには客側から見ると好き嫌いはあるかもしれませんが、スタッフさんの好感度がとても高うございます。だからこそ、断りきれずついシールを貼ってしまったりするわけですが、「すごいなあ」と感心するのは、スタッフの温度感がほぼ保たれていること。






















【写真】7インチのタブレットに貼っても、存在感バッチリの「塚田農場」シール

通常、チェーンの飲食店だと「画一化された、型どおりの接客」になりがちです。会社としての芸風が「押しの強い接客」だと、僕などは「ええい。うっとおしい!」と殻に閉じこもりたくなるんですが、恐らくアルバイトであろうスタッフさんたちも含め、接客の押し引きのさじ加減が、「いい嬢」に当たった時のキャバクラや、素敵なママさんのいるスナックにも似た心地良さがあるような気がします。

「どういう教育をしたらこうなるんだろう」と同チェーンを展開するapカンパニーのリクルートページ(http://www.apcompany.jp/recruit/member/index.html )を見ていたところ、なんとなく社風が見えてきました。リクルートページということを割り引いても、社員は例外なく「ポジティブ感があり」「本気感が強く」「素材の情報や物語をしっかり知っている」。それこそ飲食業は「ブラック」扱いされる企業が多いにも関わらず、タスクの多さをポジ転換できるマインドの社員が多いようです。

実際、「教育」にも力を入れているようで、若手役員からは「日本は、家庭も、学校も、企業も、どこか教育の責任を押しつけあっている。そうではなくて、我々APカンパニーがそこを請け負っていこうじゃないか」というメッセージがあります。さらに女性社員主導で「と殺の様子を50分間のビデオにまとめ」た「命の授業」という社内講習会が行われているそうですし、同ページには「接客」についてのスタンスを述べる社員も多く、社内における「教育」への意識はかなり高いよう。

そういえば、日経さんに「叱る指導もう限界? 社員育てる「褒め合いゲーム」」なんて記事がありました。
http://www.nikkei.com/article/DGXBZO49201660V01C12A2HR0A00/
 「若手は褒めて伸ばせ」と言われて久しいですが、 社風は掛け声通りにはなかなか変わらないようです。 ならば褒めずにはいられない仕組みを作ればいい、ということで、 SNS(交流サイト)などを活用し、時に取引先も巻き込む「褒め合いゲーム」を 導入する企業が相次いでいる」

だそうで。上記「褒め合いゲーム」の導入事例として取り上げられていた例には、LINEの「スタンプ」にも似たコミュニケーション手法もありました。そういえば以前、「モテ」や「異性との交際」にあたり、「LINEのスタンプの使い方がうまい」が理由になりうるという話を聞いて、当時は腰を抜かしそうになりましたが、考えてみればスタンプも円滑なコミュニケーションをはかる手法のひとつ。

強固な理念にもとづいた社内の意識共有ができれば最高でしょうが、コミュニケーションを円滑に進めるために新しいツールを導入するのも選択肢のひとつと言えそうです。

2012年12月18日火曜日

機内食がエアラインの成否を左右する?

【All About News Dig】(http://newsdig.jp/連動エントリー

ちょっと前に、例によってNEWSポストセブンさんにこんな原稿を書いてみますた。

機内食 機上で舌の機能が低下することまで計算して調理する
 JALはこの12月1日から一部国内線の機内で、銀座の老舗としても知られる、資生堂パーラーのメニューを提供するという。1か月間限定で資生堂パーラーの朝食を、2か月限定で同店のスイーツを機内で提供するというのだ。総料理長自ら、機内食用のメニューとして開発・監修したスイーツだという。
 ANAもこの12月から欧米路線のビジネスクラスと、一部国内線のプレミアムクラスで、ミシュランの星を獲得しているマンダリンオリエンタル東京のレストラン「シグネチャー」が監修したメニューを提供する。国内線の一部でもセントレジスホテル大阪の監修メニューが提供されるという。

エアラインのミールサービスは、他社との差別化をアピールするのによく使われます。1月から、JALが新しいシートを導入しますが(http://www.shibukei.com/headline/8966/)、新シートの導入はそうしょっちゅうはできません(だからこそ、今回のJALは新シートの導入にあたり、大々的にキャンペーンを張っているのでしょうが)。ミールや料金についてのキャンペーンが多くなるわけです。

ところが料金となると、最近話題のLCCを抜きには語れません。現在、東京近郊での離発着は成田に限定されていますが、今後羽田に進出する可能性もあるのだそう。

羽田発着枠、基準策定 将来の配分、LCCも可能に
http://www.sankeibiz.jp/business/news/121117/bsd1211170502008-n1.htm

乗客にとってLCC(ローコストキャリア≒格安航空会社)のメリットはなんといっても料金の安さ。成田から札幌や福岡に飛ぼうとすると、片道4000円台から買うことができます。

一方、デメリットといえば、搭乗口が保安検査場から離れた場所にあるとか、そもそも成田からしか乗ることができないなど、安い分時間や手間がかかります。あと、シートの間隔が狭い。大手の同タイプ機と比較して約1~3割程度座席数を増やしているので、その分一席あたりに割り当てられる面積が少なくなるというわけ。

そしてもうひとつ、大きな違いがミールサービス。LCCでは、基本的にドリンクやミールは有料です。2012年に就航した「ピーチ」などはミールとドリンク、スナックとドリンクという、ファストフードのようなセットメニューも提供しています。

うまいのは、「特製ピーチデニッシュ」、「オリジナル! 濃厚ピーチアイスミルク」などライトミールを際立たせた上で他社との差別化をきっちりしていること。単価≒原価も抑えているので、廃棄ロスが出てもリスクは最小限に抑えられますし、そもそもLCCではロスが出ないよう、積み込むミールの全体量を抑えたり、最終便では割引サービスなどを導入して、逃げ切り……ではなく、売り切りを図っています。

LCCにとっては、きめ細かな設計やサービスがニュースなどで話題になることで、安定した搭乗率の確保にもつながります。ピーチは就航半年時点で、搭乗率79%、定時運行率89%、就航率99%と好調で、国内線を増便することに。
http://response.jp/article/2012/09/05/180817.html
http://response.jp/article/2012/08/22/180016.html

もっとも、LCCが全体的に好調かというと、そんなことはなく、8月に就航したエアアジア・ジャパンは、早くも社長交代がニュースになってしまいました。
http://www.asahi.com/business/update/1217/TKY201212170581.html

おそらく搭乗率とは関係ないでしょうが、エアアジアのミールは以下のような感じ。
http://www.airasia.com/jp/ja/inflight-comforts/hot-meals.page?

アジア料理だったら、国内だろうが海外だろうが、地上に降りてから食べたい衝動に駆られてしまうわけで、予約制とか、ミール関係についてはあれこれどうなんだろうなあと、モニョっとした気分になってしまうわけでございます。「食にこだわりのあるお客様にもご満足いただけるよう」とかってのは、とりあえず置いといたほうがいいような気がするのは、僕だけでしょうか。

2012年12月14日金曜日

【熱望】食べログさんの指定駅間検索




【All About News Dig】連動エントリー


世の中は不思議であふれています。前回ポストした「好きなコンビニのホットスナックは?」という調査もそうですし、今日の「東京都心へ通勤しやすい路線は?」もそう。どちらも「調査」をすること自体が大切に違いありません。関係各位のみなさま方、本当にありがとうございます。今後とも、ネタになるような調査を、どんどん行なっていただきたいと思います。

 賃貸サイト「キャリルーノ」は東京都心を通る路線を「非混雑度」「通勤・通学時間帯の本数」「終電時間」という3つの指標で評価し、その総合ポイントで「東京都心へ通勤・通学しやすい路線ランキング」を発表した。
yd_train.jpg

1.「非混雑度」は乗車時間がストレスなく過ごせるかどうか。
2.「本数」は乗り遅れやダイヤの乱れに対する影響度。
3.「終電時間」は残業や飲み会からの帰り時間の設定。


データとしての公平性を考えてか「都心」のみを走る山手線などが入っていたり、「都心へ」なのに終電時間が同じウェイトで算出されているあたり、なかなか微妙なランキングのような印象もあります。

一方、リクルートの住宅情報サイト「SUUMO」が2012年8月に行った「住みたい路線・駅ランキング」は次の通り。

1位 山手線
2位 中央線
3位 東急東横線
4位 京浜東北線
5位 東急田園都市線
6位 総武線
7位 京王線
8位 小田急線
9位 井の頭線
10位 東海道本線

実に安定感がありますが、この類のランキング、ひと月あたりの生活費の指標が組み込まれていません。最終的にはユーザーが勝手に感覚値に落とし込むからいいだろうということでしょうか。

例えば
東京都の犯罪発生率番付
http://area-info.jpn.org/CrimPerPop130001.html
とか

東京23区住民が選ぶ「物価が安い区」ベスト10(2006年版)
http://www.homes.co.jp/contents/trend/ranking/area/001/
なんかを組み込んでみたりとか。

近いものに「SUUMO住みかえ診断サービス」
http://shindan.suumo.jp/shindan/top.html
てなものもありますが、試しに入力してみたところ、見事に途中でイヤんなりました。どうやら最後にはひとつの駅に絞り込んで、物件選びをお手伝いしてくれるようで。もうちょっとゆるやかなシステムのほうが楽しいのになあ……。

そしてもうひとつ、ぜひこの手の指標に組み込んでいただきたいのが、飲食店や商店の情報。僕を含めたユーザーがほしいのは「自分に特化された情報」です。ぜひ食べログさんあたりのシステムに、「路線検索」を組み込み、「△△駅―☓☓駅」間の飲食店を業態や点数ごとに件数表示を。その上で不動産情報サイトと連携して頂いて、五角形か六角形くらいのチャート化などしていただくと楽しいと思うんですが。価格COMさんでも八角形の↓こういうのあるじゃないですか。ついでにチャートのグラフをいじると、他の候補路線や候補地も出るような逆引きシステムだと大変ステキです。
OLYMPUS STYLUS XZ-2のユーザーレビュー


ちなみに僕が食べログさんで、いちばん重宝しているのは、左カラムの下部にある地図検索。よほど贔屓にしている店でもない限り、最寄り駅や駅からの距離は、大変重要でございます。本日の僕のように忘年会のはしごをする人もいる季節にはなおさらです。

そういえば直接は関係ありませんが、iPhoneさんのところにGoogle Mapさんがお帰りになられたご様子。ユーザーのみなさま、おめでとうございます! 僕のオリンパスXZ-2に対応する、PhotoShopのCamera Rawの正式リリースと、Galaxy Tab PlusのAndroid4.0へのバージョンアップが一日も早くなされることを願ってやみません。

2012年12月13日木曜日

コンビニからあげチキンレース


【All About News Dig】連動エントリー


マイナビニュース先生が、いつもの通りちょっと不思議な調査を敢行している。
肉系ホットスナックが一番おいしいコンビニは?

この調査から何をどう導き出したかったのかはわかりませんが、結果自体はわりと認知度そのままという感じでしょうか。

実は今年、とあるお仕事で、北は釧路の「ザンギ発祥の店」から、南は大分・宇佐や中津の名店まで、全国津々浦々のからあげを食べまくりました。2日で100個なんてザラ。1日24時間のうち、からあげ以外の固体をまったく口にしない日もありました。2012年は揚げ油まみれの一年だったと言っても、過言ではありません。


そういえば、今年の8月、某ウェブメディアにこんな記事を書きました。
ローソンが走りファミマ追う「コンビニからあげチキンレース」

http://www.news-postseven.com/archives/20120817_137678.html


















上記記事にも書きましたが、いまコンビニにおいてホットスナックは、文字通りかなり熱いエリアになっております。例えるなら、2000年代のサッカー日本代表の攻撃的ミッドフィールダーを中田英寿、小野伸二、中村俊輔が争っていた当時のようなイメージでしょうか。希代の才能が出場機会を争う超激戦区です。

多少のロスはあるにしても、アルバイトスタッフにかかる人件費は変わらず、他の商品よりも利益率は高い(はず)。ロスが怖ければ深夜帯には置かなければいいのですし(各チェーンでどういうルールになっているかはわかりません)、しかも、このコーナーで客寄せができれば、ドリンクなどの売上もあがるという、コンビニさんにとってはいいことずくめな商材(のはず)です。

それだけに、各コンビニさんとも力を入れまくり。ローソンさんのレジまわりなどは、大変なスペースを割いていて、まるでホットスナック店舗かのよう。”からあげ類”のラインナップも「からあげクン」レギュラーシリーズに加えて、期間限定で専門店が監修した「からあげクン」を並べた上、「Lチキ」や「鶏から」など複数ラインを展開し、さながら什器内も殿堂ライクなにぎわいぶり。ほか、ファミリーマートさんも”からあげの聖地”大分・中津の名店「もり山」監修の「からあげ」を発売されましたし、デイリーヤマザキさんも同じ中津の「聖地 中津からあげの会」に加盟する専門店監修のホットスナックを展開するという、とてもお里がパン屋さんとは思えぬサイドチェンジを見せてくれます。

そして驚くべきは、その味つけ。どれもこれも旨い……。個人的にはローソンさんがラインナップの豊富さと、これまでの蓄積で頭ひとつリードしているような気もしますが、ファミリーマートさんの「もり山」の「からあげ」も本店の味と遜色ありません。むしろ家に持ち帰ったあと冷えた状態で比較すると、コンビニのほうがやわらかさが残っている。どのコンビニの「からあげ」も、それほど完成度が高いわけでございます。

そんな業界のトレンドに、コンビニ界の雄、セブンイレブンさんが手をこまねいているわけがありません。もともとはレジまわりにフライヤーを置く店舗設計になっていないはずなので、他のコンビニと比較すると、スペースが窮屈な店舗も多そうな印象がありますが、それでも新しめの店舗や、郊外の店舗などではフライヤーの導入が進んでいるようです。
http://www.sej.co.jp/sej/html/products/ff/hotsnack/

それにしても、いまのコンビニの店員さんは大変ですねえ。僕がアルバイトをしていた20年前と比較すると、仕事のタスクは倍くらいになっているんじゃないでしょうか。もっともマルチタスク化というか、ひとつのコンテンツ(店員)をさまざまなチャネル(タスク)で使いまわすのは、どの業界でも同じかもしれませんが。

あれ? いま気づきましたが、記事がUPされたのが8月17日で、調査期間が8月28日からということは、もしかして僕の記事がきっかけとなって、調査をしていただいたということでしょうか。だとしたら、こんなに光栄な多チャンネル展開はございませんが、きっと僕の自意識過剰に違いありません。



2012年12月6日木曜日

O2Oと020と年末のカラオケ


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【All About News Dig】連動エントリー



スマホで加速 「O2O」の威力
[シダックス]時限クーポンで売り上げ増、2次会需要を取り込む
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20121121/439014/

んっ? どうやら東京テレメッセージの「020」ではないようです。「O2O」(オー・ツー・オー)……。最近流行りの「Online To Offline」の略語で、「オンラインとオフラインの購買活動が連携し合う、または、オンラインでの活動が実店舗などでの購買に影響をおよぼす、といった意味」IT用語辞典「BINARY」さん)のアレですね。

すべてのメディアは何らかの影響をユーザーに与えることを目的としています。クーポンを含めた広告メディアの目的は、購買行動を後押しすること。「O2O」をスーパーのチラシに当てはめれば「C2S」(Chirashi To Super)とか、いろいろな呼び方ができそうです。キャバクラの呼び込みなら「Y2B」(Yobikomi To Bottle)とか。「だからなに?」と問われても、何もお答えできずに申し訳ありません。ま、「B2B」とか「B2C」だって似たようなもんに違いありません。

さて、シダックスのクーポンは、「ハッピーアワー」の亜種とも言えます。ハッピーアワーが稼働率の低い時間帯の稼働率向上を狙ったサービスなのに対して、このクーポンは単価の高い時間帯の顧客を囲い込もうという狙いのようです。

特徴は、スマホのGPS機能を連動させていること。使ってみると、結構よくできていて画面の最下部に候補店のクーポンバナーが掲出されます。バナーにタッチすると詳細画面が大きく表示されて、店舗やクーポンの詳細がわかるという仕組み。

大変素晴らしい! とも思いますが、都内ではシダックスの店舗があるのは、新宿や渋谷といったターミナル駅ばかり。繁華街なので、競合のカラオケ店も多く、シダックスのみが検索できるアプリにどれくらい意味があるのか、ユーザー目線だとイマイチわかりません。

自社では無理でしょうが、どこかのアプリ会社に話を持ち込んで、全カラオケ業界を巻き込んだ上で、「半径500m以内に、当店より安い店やクーポンがあったら、さらにお値引きします!」とかいう量販カメラ店的手法に乗り出してみたりすると、より話題になったんじゃないかとか、実現確度も考えない提案もしてみたいところです。ダメ元でゴール前にボールを放り込むと、何かいいことがあるかもしれません。2004年7月10日に横浜FCのGKだった菅野選手だって、88mのロングシュートを決めています。
https://www.youtube.com/watch?v=6ZXcFUPQLYk



ところで、このクーポンは何のため、誰のためのものなんでしょうか。開発&リリースサイドの本当の狙いを考えてみます。

・(本気で)忘年会の2次会需要狙い
2次会利用狙いとなると、都市部がターゲットだと思いますが、検索できるのはシダックスの店舗だけで、同業他社との比較ができません。価格コンシャスな僕の友達の田中くん(仮)を説得するだけの材料になりえません。本気でこの線を狙ったわけではないことを願ってやみません。

・シダックスファンへのインセンティブ付与
時限クーポン≒期間限定クーポンはクーポン専門業者も発行しています。ただ、自社サイト内での発行なら、スピーディにきめ細かい設定ができるメリットはあるでしょうし、ファンづくり、顧客の囲い込みという意味でも一定の効果は見込めるでしょう。

・新サービス自体がプロモーションの一環
決め手はこれでしょうか。年末に向けて、「カラオケならシダックス」と印象づけられる安定、安全、安心の手法です。クーポンからの予約も一定数は見込めるでしょうし、ニュースとして多少の話題にもなる。効果に疑念を提示されたときの回答も「やらなければ、もっと落ち込んでた」でOK。仮定の事実にはお答えできませんってことで。

類似業態で、スマホアプリをリリースしているのは、いまのところ郊外型複合エンタメ施設(?)の「ROUND1」くらい。いまのところ、「カラオケ館」、「歌広場」、「Bagus」など、都心のカラオケ店は独自アプリをリリースしていないようです。

僕もスマホにシダックスアプリを入れたので、この年末に使う機会があるかもしれません。もっとも実際に「2次会」となったら、Google Mapからキーワード「カラオケ」で検索をかけて、次々に電話をかけるような気がします。この時期の2次会には、「すぐ入れることが最優先」だという周囲からのプレッシャーだってありますし、Google Map経由でもHot Pepperのクーポンが探せます。もちろん電話をかける際の、局番は「020」じゃありません。ていうか、この手の言葉を使うとロクでもないプランがそれなりに見えてしまい、あとで泣きそうなほど後悔するお姿を見て、もらい泣きしそうになるので、くれぐれも「O2O」などという言葉はお使いにならないことを全力でおすすめします。

2012年12月5日水曜日

GRⅢ→XZ-2


GRⅢ絶不調につき、コンデジを10年ぶりのC-40Z以来のオリンパス機に衝動チェンジ。「描写がいい」という大前提を除いて、機種変更にあたっての条件は3つ。

http://olympus-imaging.jp/stylusx/


・自分のカバンの横ポケットに入る厚さ(課題は格納時のレンズの高さ)
・RAW画像が撮れる(この時点で対抗馬はキヤノンG15とソニーRX100)
・ズームつき(単焦点のGRで、画角調整に苦労した)

最後はソニーのRX100との間で、メチャクチャ揺れたが、レンズとバリアングル液晶の差でXZ-2に軍配。センサーサイズの差が気になるレベルの撮影ならmkⅡを持ち出すだろうし、いつものカバンの横ポケットにぎりぎり入るサイズだったので、目をつぶることに。なにより、オリンパス機はスマートメディア仕様だったC-40Z以来10年ぶりということで、ちょっぴり定点観測的な意味合いも込めて、XZ-2にさせていただきました。

これでコンデジの系譜は、C-40Z(オリンパス)→(何が何でも一眼期)→GX100(リコー)→GRⅢ(リコー)→XZ-2(オリンパス)に。なぜかコンデジとなると、ニコンやキヤノンを選ばないのか自分でも謎だ。まあ一眼レフとなるとレンズ資産的に、この2メーカー以外選択しづらいので(現在はキヤノン)、コンデジくらい自由にやらせてくれよというモードが発動するのかも。

んで、このXZ-2、まあちょこちょこ不満はあるにしても、いい。何よりきちんとホールドできるのがとてもいい。撮影側に「撮ってる感」がありつつも、たぶんこのくらいのサイズなら被写体に過度の緊張感が出ない、ぎりぎりのバランス感がちょっと楽しい。

<いいとこ>
回転は限定的な分、頑健そうなバリアングル液晶
オートホワイトバランス、自分好みの調整ぶり
レンズリングでの絞り調整、超ベンリ

ところが、1日使ってみると、それなりに不満も出てくるものです。
<わるいとこ>
本体にケーブルつながないと充電できない(オプション充電器、即購入)
UIの個性が強くて、なじむのに時間かかりそう

さらに致命的なのが、使用PCに入っているAdobeのCamera RAWが未対応なこと。付属のビューワーじゃ、レタッチはとてもできない上に、Macに入っているCS5も、Winに入ってるElementsも、サポートされているCamera RAWのバージョンは6.7まで。

……。Adobeさん。高額なソフトをプロフェッショナルなデザイン畑のユーザー囲い込んで販売したいなら、せめて一代前くらいまで対応しなはれ。高額な年俸もらってるベテランのプロ野球選手が、後進の指導もしないとかマジあり得ない。や、もう本当、どういうことかと憤慨してみたりするわけです。まあ、そんなことも確認せずに、ショップ店頭で衝動買いした僕が誰よりも悪いんです。ええ。

というわけで、あれこれごっちゃにした本日のわかりやすい囲い込み商法的、まあええか→嫌い順位はこんな感じ。
Google>Olympus>Microsoft>Facebook>Apple>Adobe

選択したのは自分だとはいえ、囲い込むならちゃんとサポートしろやという、わがまま勝手な愛人理論を引っさげて、Adobeセンセイはいつもどおりの不動のポジションにおさまるわけです。本当、「先生と呼ばれるほどのバカでなし」。もうちょっとうまくやっていただきたいものでございます。

※12月5日追記
Olympusのサポートに電話をかけて「RAWデータのレタッチ動作確認できてるサードパーティのソフト教えて」→「サードパーティさんの動作確認については、こちらでは明確にお答えできません」。(これは、しゃあない。でも、ぶっちゃけベースで教えてほしかったなあ)
Adobeのサポートに電話。「使えるPhotoshopのバージョン教えて」→「CS6もElements11も未対応です」→「いつになんねん」→「そんなに遠くないとは思いますが…、明確な時期はちょっと」→「目安でええから」→「申し訳ありません」

あの……。発売から1か月経ってるんですけど……。

2012年11月30日金曜日

どうぶつの森とお取り寄せと2013年に流行るもの

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【All About News Dig】連動エントリー



NINTENDO 3DS用のゲームソフト「とびだせどうぶつの森」がメチャクチャ売れているらしい。クリスマス商戦が本格化する前に早くも100万本達成という、ものすごい勢いです。マジか……。

マジでした。このゲームは、初週からダウンロード販売でも20万本以上を売り上げ、ネットワークの活用が苦手と言われる任天堂をして、ダウンロードカードが一部で品不足になるほどの大ヒットに。裏を返せば、それほどに日本のネットワークインフラは成熟してきた、とも言えそうです。

ネットワーク環境の充実は、日常を激変させました。日本経済新聞と日経BPが行った調査では、住居費を除いた日常的な支出の20%はインターネット経由で行われているという結果が明らかになりました。

さらっと書きましたが、2割ですよ。2割! 近所にコンビニがあり、スーパーやドラッグストアがある。さらに外食など「消えモノ消費」もあるなかで、20%もネットで支払いがなされている……。これって相当スゴイことなわけです。

1クリックで自宅まで届けてくれる圧倒的な利便性は、確かに他のサービスとは比べ物になりません。アマゾンなんて朝注文したものが夕方に普通に届く。楽天にしても、結構な大物でもだいたい翌日には届く。高度成長期における、近所の酒屋さんか米屋さんかというほどの御用聞き状態。大手スーパーも実店舗をいかしての、ネットスーパー業態に乗り出すなど、近頃のネット通販サービスには、ものすごいきめ細やかさとスピードがあるわけです。

さらにネット通販が生活にもたらした福音といえば「距離を縮めた」こと。物流とセットで考える必要がありますが、例えば東京にいながら、地方の名産品が手に入る。また、普段行くには敷居が高いお店の味が、気軽に手に入るようになったことも「距離が縮まった」の一例でしょうか。

少なくとも、地方の生産者や加工業者にとっては、いまやネット通販という販路は欠かせないものになっていますし、客単価が高いレストランなども、通販のスイーツで売上を支えながらプロモーション活動に精を出すというケースも見聞きします。

ただ、ご主人の顔も知らないお店の味を、通販で疑似体験できるということが、本当にいいことなのかはわかりません。例えば、僕の大好きなハム・ソーセージ専門店「シュタンベルク」は、長野県の乗鞍にあって、通販もやっています。何度か通販も利用させて頂きましたが、やっぱりいちばんおいしいのは乗鞍の小さな工房兼店舗で購入したもの。そして東京の物産展やマルシェなどでかぶりつくホットドッグが、もうそれはそれはたまらん坂なわけです。

ネット通販を否定するつもりはありませんが、すべてのコミュニケーションには適切な「距離」があるような気がします。そう考えると、地方との距離が縮まったのは「福音」とばかりは言えないのかもしれません……。

あ、そういえば、ひとつ思い出しました。来年は「各駅停車の旅」のような、「ゆる旅」が流行ると予言しておきます。ポイントは「低速化」。みんなが便利さとか、スピードとか、ソーシャルとかに疲れちゃいながらも、そこから離れられないという……。どことなく切ないでしょうか。ならば「カジュアル茶席」なんかも流行るかもしれません。茶道マンガが人気になっていたり、「抹茶男子」なる男性も増えているという話ですし。あ、特に現時点でそういうイベントを考えたりして、ステマ的なものを巻き散らかそうとしているわけではありません(強調)。

おっと。気づけば「どうぶつの森」からずいぶん離れたところまで来てしまいました。今年の5月、シュタンベルクさんが東京のフェアに出店していた時のホットドッグにて、これにて。



【写真】
長野県乗鞍のハム・ソーセージ工房「シュタンベルク」が東京・吉祥寺の東急百貨店で行われた信州物産展に出店したときのソーセージ。パンはドイツから取り寄せている。尋常じゃない旨さ。そして最近、都内にシュタンベルクのソーセージが食べられる飲食店が開店しました。ふふふふふ……。

2012年11月28日水曜日

行列のできるエヴァンゲリオンと塚田農場

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【All About News Dig】連動エントリー

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q : 12年のオープニング興収トップに 「海猿」上回る

当初このニュースを聞いて「人気にはなるだろうけど、そこまで動員力ある?」とやや怪訝な顔をしていた僕が船舶……いえ、浅薄でした。

「あれはなんだ?」という難解なコミュニケーションをファンに突きつけた結果、「次作はどうなるんだ」という期待感を煽り、噂が周囲に伝播していく。まだ見ていないので、内容についてはなんとも言えませんが、もともと強固なファンがいるからこそ、許される手法と言えるでしょうか。1980年代のジャパニーズヘヴィ・メタルの雄、Loudnessや、E・Z・Oが全米進出に際して制作したアルバムで「売れ筋を狙ってアメリカナイズされてしまった」と一部から批判を浴びたのとはわけが違います。

早くも話が横道に逸れてしまいましたが、話はさらに横道に進みます。外食産業で、快進撃を続けるapカンパニー――。「塚田農場」などの飲食店ブランドを持ち、9月には東証マザーズに上場。10月には海外にも初出店という、いまどき飲食業においては珍しいイケイケさんです。看板的な業態でもある「塚田農場」さんを例にコミュニケーションの部分をちょっと考えてみたいと思います。

・ファン心理のロードマップ化
ヱヴァ:会報誌/Webで新作告知→マンガ誌での連載→キャラ・舞台設定公開→ファンイベントで作品限定公開→本放送(この間、約1年半)
塚:来店するともらえる名刺のようなカードをもらえ、「役職」がつく。次回来店時、指定の一品無料、半年間無断欠勤だとリストラ。
<共通項>
共感を訴えかける形でのファン獲得。ファン心理は一日にしてならず。共感を伴いながら、時間をかけて育てていくもの。


・ゆるやかな顧客管理
塚:サービスとサプライズによるファンづくりに徹し、一定の共感を得られたタイミングでケータイにシールを貼ってもらう。
ヱヴァ:版権管理がゆるやか。ウェブ上にある一部画像の部分使用をファンにも許諾し、共感を呼び起こす。
<共通項>
獲得したファンによる、周辺への話題伝播。話したくなるような種をリリースやコンテンツのなかに蒔いておく。


・キャッチーで良質な「素材/ブランド」の「活用/起用」
塚:近年評価を上げている、宮崎地鶏「じとっこ」などを使用したメニューづくり。
エヴァ:「超時空要塞マクロス」などを制作した「庵野秀明作品」を打ち出すことで、良質感を強調。
<共通項>
提供するもののクオリティは大前提。あのね。好みはさておき、発信者自身が自信を持って世に出せるものを本気で作るというのは、大前提なわけです。

いずれも当たり前に見えることばかりですが、実はこうした仕組みを狙って作るというのは、結構大変なことだったりします。その面倒と向き合い、作りこみ、やり切ることができるか。最後の最後は実際の運用で踏ん張れるかというところにかかっていたりするわけですが。

2012年11月26日月曜日

米と和牛と肉食系ブランド

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【All About News Dig】連動エントリー

様変わり「うまいコメ」の勢力図 北海道や九州の新銘柄台頭 旧来ブランド米も巻き返し

今年「特A」として認定されたのは、北は北海道、南は九州・熊本まで26のコメ。といっても、地方色豊かな新ブランド食材はコメだけではありません。全国で、さまざまな新ブランド食材が生まれています。

例えばブランド食材の王様である和牛。1980年代までは松阪牛や神戸牛ばかりが幅をきかせていましたが、この20年ほどで全国各地のさまざまな牛がブランド戦線に名乗りをあげています。「和牛のオリンピック」とも言われる、全国和牛能力共進会では2000年代に入ってから、宮崎牛や長崎牛など九州勢が台頭。その下克上ぶりからも、ブランド牛戦国時代の到来が伺えます。
http://zenkyo-nagasaki.com/wp-content/uploads/2012/10/housho.pdf


さらに「和牛」自体の評価軸も多様化しています。一昔前は「和牛」と言えば、サシの入った黒毛和牛ばかりでしたが、ほかにも和牛には、の褐毛和牛(あかうし/高知県・熊本県)、短角牛(岩手県など)、無角牛(山口県)が存在します。短角牛は食材の品質に定評のある宅配食材サービス、「大地を守る会」の食材としても取り上げるなど、その評価はうなぎのぼり(牛ですけど)。昨年11月には「全日本あか毛和牛協会」が立ちあげられ、ほかにも、雄のホルスタイン種を肉牛として肥育する「低脂肪牛」や、出産後の雌牛を再肥育した経産牛など、さまざまな価値が認められるようになりました。


本来「ブランド」とは「自己の商品を他の商品と区別するために、自己の商品に使用する名称や標章。銘柄。商標。」(大辞林)を指します。実際にブランドとして成立し続けるには、一定のクオリティは必要でしょう。ブランドとは品質を保証する記号であり、魂をわかりやすく伝えるコミュニケーション手法です。


肉牛の種類だけではありません。熟成法ならドライエイジングビーフ、加熱調理法なら低温調理など、この10年ほどで劇的に進化した日本の「肉食文化」。高価なものばかりがブランドではありません。地方、和牛の種類、熟成方法から調理法まで、無限の組み合わせが考えられます。

今年の1月(原稿を書いたのは12月)、2012年は食の地域化が進むという趣旨の記事を書きましたが、地方ブランドの発信力向上もあって、食ブランドのローカライズはますます加速がつくはず。ちなみに2013年の外食トレンド予測ですが「自家製加工肉Bar」なんぞが、流行り始めると踏んでいます。




【写真】参加する調理ユニット「給食系男子」の定例イベントでお出しした「牛リブロースの3時間ロースト」。200℃超のオーブンに1~2分入れた肉を、オーブンから出して5分休ませる、を20数回繰り返す。

2012年11月22日木曜日

メルマガという食べ物、メルマガという店

メルマガが読まれない理由、第一位。「本数が多すぎる」43.1%。
http://markezine.jp/article/detail/16764

えーと。あまりの素晴らしい調査に、悩みが悩み始めてしまいました。食事に置き換えると「ごはんを食べない理由」→「品数が多すぎる」。もしくは「外食しない理由」→「飲食店が多すぎる」……。

ええっ!?

昭和の親御さんなら、「このバチ当たりが!」と食べ残しを叱り飛ばすところです。じゃあ品数を減らせばいいのか……。もちろん、そういう問題ではありません。しかし、この調査は食べ物が多いこと自体がダメなんじゃないかという仮説に誘導されています。なら、栄養はビール(≒Facebook)とか点滴(≒Twitter)で摂取すればいいじゃないかということになりかねません。自ら身を置く世界の足元をすくいかねない、大変な勇気ある調査といえるでしょう。


想像の遙か斜め上方向に逆転の発想というか、調査サイドの上から目線の選択肢に加えて、リリースも特に切り口を用意するわけでもない、大変フラットなダダ漏れ調査結果もツッコミどころ満載で、非常にWeb的というか某家庭料理割烹的とも言えます。ある意味、既存メディアも見習うべきと思えなくもありません。

ちなみに、その他の選択肢を「ごはん」に置き換えてみると……。

・「内容が面白くない」→「ごはんがおいしくない」
・「欲しい情報が送られてこない」→「ほしいごはんが提供されない」
・「キャンペーンに応募するためだけに登録した」→「開店セールの期間だけ食べに行った」
・「情報が必要なくなった」→「ごはんが必要なくなった」

ドラえもんに、ほんやくコンニャクを出していただくまでもなく、こうした店は早晩のれんをたたまざるを得なくなります。いまさら言うまでもありませんが、個人経営の飲食店において出店自体が重要なわけではなく、「いい店」を作ることが大切なはずなのに。ここ数年のトレンドである「Facebookでファンづくりを」とか「Twitterでバイラル展開を」と同様、ツール=コンテンツという勘違いは永遠に不滅です。きっとマーケティング界あたりのホームラン王なんでしょう。

そもそも現在、「メルマガ」という形態に特化した調査にどれくらいの意味があるんでしょうか。米光一成さんがこんなエントリーを書いてましたが、やっぱり、お年寄りはなじみの店で安心感を得たいものでしょうし、地方から上京したばかりの大学生は有名店に行ってみたいものでしょう。その気持ちは大変よくわかるような気がしますが、チラシ的というかDM的メルマガが「有名店」に相当するかと問われると、とても困った気持ちになるわけでございます。

一時期、猫も杓子も状態だった有料メルマガにしても、「水道橋博士のメルマ旬報」のように、複数著者を立てた10万字クラスのコンテンツも出現しています。メルマガというチャネルの位置づけが食材かお店かはともかく、現状に満足しないお客様は異なるチャネルに移行してみると、世界が違って見えるかもしれません。ツール=コンテンツではないものの、やっぱり盛り上がってる商店街のほうがお客さんは来ますもん。

2012年11月20日火曜日

クリスマスはさておき、ヒカリエの男の居場所

他の大規模商業施設と同様、今年の4月26日に開業した渋谷ヒカリエさんもクリスマス商戦に突入されるようで。

渋谷ヒカリエは、開業後初のクリスマスプロモーションとして「Shibuya Hikarie Xmas 2012~Gift for ALL~」を、2012年11月21日(水)~12月25日(火)の期間中に開催する。

今年4月26日よりグランドオープンした渋谷ヒカリエは“Gift ALL”をテーマに、食・アート・雑貨など幅広いラインナップで、11月21日(水)からクリスマスプロモーションを実施する。
クリスマスを彩る雑貨やクリスマスケーキ、クリスマスディナー、ミュージカル劇場での特別な時間などがたくさん詰まった渋谷ヒカリエ自体を“ギフトボックス”に見立てて、大切な人と過ごすクリスマスを提案する。(後略)
http://news.mynavi.jp/news/2012/11/14/099/

確か、ヒカリエのターゲットは確か「20代後半から40代の女性」だったはずです。ところが、僕が行くタイミングが悪いのか、飲食店フロアに行くことが多いからか、ご家族連れやカップルが多いように見受けられます。

日経リサーチさんの調査ではターゲティング通り、20代後半~40代の女性が「直近3か月に利用した商業施設No.1」となられたそうで、誠におめでとうございます。調査手法も含めてお見事と言うほかありません。調査が行われたのは9月。オープンから日が浅い、渋谷駅直結のヒカリエさんが老舗の百貨店相手に圧勝されるのは、先日「イブニング」で読んだマンガ、『おせん』(きくち正太)の「お客さんに味わっていただくのは心根」というセリフ同様、当たり前のことだと思われます。あ、マンガは関係ないか。

さてヒカリエさんは、トイレ(スイッチルームと呼ぶらしい)やパウダールームなど、女性向けの施設やサービスを充実させていらして、お姉さま方へのもてなし感満点。ある意味、大変にジェントルな振る舞いをされているわけです。われわれ男性は、置き去りにされた寂寥感を覚えそうになりますが、公式Webでの説明を拝見するとちょっと趣が変わります。ヒカリエさんは「渋谷の街全体の活性化」や「文化の発信基地」という位置づけの施設でもあるようです。
http://www.hikarie.jp/about/index.html

あー、よかった。文化の発信基地ということであれば、ぼくのようなおっさんも多少は足を踏み入れてもいいのでしょうか。そういえば、ヒカリエさんには「UNITED ARROWS」や「BEAMS LIGHTS」など男性向け(おしゃれ)アイテムを扱う店舗もあります。男性向け店舗が『パタリロ!』(魔夜峰央)における”異性愛者”くらい少数だとしても、逃げ場があること自体がとても大切で、たいへん気持ちがラクになるわけです。

一部には「女性向け商業施設なのか、文化の発信基地なのかわからん」とか「企画がブレてる」などと、乱暴なことを仰る方もいるようですが、「渋谷の駅近く」「元・東急文化会館」という場所に巨大商業施設を建てるとなると、いろんな人がいろいろワーワー言い出し、思惑のスクランブル交差点状態になることは容易に想像できます。最後はコンセプトに一定の幅を持たせ、時代の多様性を映しだしたとでも、解釈したらよろしいのでしょうか。「カワイイを卒業する、大人の文化発信基地」とかなんとか、全体を串刺しにするキーワードがあってもいい気はしますけど。

ともあれヒカリエさんなら、冒頭のニュースのようなクリスマスディナーの店選びには何の不自由もありません。アメリカ歴代大統領相手の晩餐会で総料理長をつとめた山本秀正シェフ率いる「SESTO SENSO H (セストセンソ アッカ)」や、予約の取れない店として知られる「アロマフレスカ」の原田慎次シェフが監修した「THE THEATRE TABLE」といったイタリアンに飛び込んでおけば問題なし(夜のみ予約可)。

そしてたいへん遅くなりましたが、本題です。女性にやさしいヒカリエさんで、男性の避難場所として飲食店は大変貴重な存在です。とりわけカウンターとビールがあるような店なら、男一人でも楽しくやれるでしょう。以下自分用メモも兼ねて、2012年11月現在、男の一人飲み店の整理。

1. 利久(牛たん)
本場、仙台でもっとも長い行列ができる、牛たん専門店。厚切り牛たんを使った「牛たん【極】定食」が看板メニューですが、牛たんを使ったカレー、シチュー、つくね、ソーセージ、シュウマイなど、ビールに合うつまみ、盛りだくさん。行列時でも、カウンターの一人客なら先に入れてもらえることも。

2. 恵み(回転寿司)
一人客にも、とてつもなくやさしいのが回転寿司店のカウンター。それはヒカリエさんでも変わりはありません。ありがとうございます。この店はまぐろ問屋の経営だそうで。ビールはスーパードライ(アサヒ)と一番搾り(キリン)。

――ここまでが「ヒカリエ男の一人飲み店」、特Aクラス。以下は席の回転や行列など、上記2店舗ほどの落ち着きは得られなくても、ビール+カウンターという男の居場所もがっちり。

3. まい泉(とんかつ)
安全、安心、安定のとんかつ店。肉を叩いて柔らかくする技法は最近のトレンドではないものの、こういう柔らかさもおいしい。かつサンドにはうってつけ。一人客でも気兼ねなく入店できるカウンターって、やっぱり偉大。ビールはザ・プレミアム・モルツ。

4. D47食堂
ナガオカケンメイさん率いるD&Departmentがプロデュースする、47都道府県の食を提供する食堂。店内の時間がゆったり流れるだけに、行列のわりに入店に時間がかかることも。ビールは常陸野ネスト生ビールのほか、志賀高原ビールや箕面ビールにCOEDOなども。

5. うりずん(沖縄料理)
那覇市内に本店のある、沖縄料理の名店。ドゥル天(田芋のコロッケ)やボロボロジューシーなど、本店の名物メニューがヒカリエさんでも頂けます。もちろんビールはオリオンも! 内地の沖縄料理店は、沖縄に比べて女性客が高い気がしますが、ヒカリエではさらに女性が多いような気がします。

あっ。もし本当に一人なら、ほかにカウンターがあってビールを出すいい店はたくさんありました。特にクリスマスにヒカリエに行く用事もないので、僕は周辺の店でサンクトガーレンの「湘南ゴールド」でも飲もうかと一瞬思いましたが、そもそも渋谷に出る用事もなさそうな気がします。また今年も仕事かな……。

2012年10月16日火曜日

酒とFacebookとおいしいつまみ



日本酒 本質は食中酒なり
「日本酒は食中酒を目指すべき」と語る堀江さん(出雲市で)
 日本酒を研究している出雲市今市町の酒類コンサルタント堀江修二さん(76)が、約50年間の研究成果をつづった著書「日本酒の来た道~歴史から見た日本酒製造法の変遷」を出版した。焼酎やワインに押されてシェア(市場占有率)が低下している日本酒。著書では「食事に合う『食中酒』を志向した酒造りこそが人気を取り戻す方法」と訴えている。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20121013-OYT8T00969.htm


掲載されたのは、読売の島根版。わかる気もするし、「?」という気もする。「わかる気がする」のは、僕自身が食事と一緒に楽しめるお酒が好きだから。何が「食中酒じゃない」のかはわかりませんが、華やかなお酒も嫌いではないし、まあいろんなお酒が飲めるのは、大変ありがたいことで、ええじゃないかといういい加減な嗜好であり、思考なわけでございます。

「?」と首をひねったのは、「そもそも日本酒は食中酒」じゃないかと当たり前のように思っているので、「食中酒に適さないと若者に言われたことに動揺した」が記事のニュアンス通りだとしたら、まあ落ち着いておとっつぁん。肩でも揉むから、その若者の言ったことが本当かどうか考えようじゃないの。ついでにその「人気を取り戻す方法」が正しいアプローチなのか一緒に考えようじゃないの、と思ってしまうわけです。そんなときにFacebook先生のことを思い出しました。

このところ、Facebookのアクティビティが落ちているように見えます。あれこれ見ていると、投稿に対してつけられる「いいね!」や「シェア」が明らかに減った印象があります。

理由のひとつは双方向を前提としたSNSの構造限界でしょうか。ユーザー増→ユーザーそれぞれの友達増→TLの流速高速化→意識の高いw((C)常見さん)ユーザー投稿の比率減→(見かけ上)ノイズ的投稿増→ますます流速高速化→リーチしにくくなるという、くるくるスパイラルです。「友達多いほうがエライ」的ソーシャルサービスにいつか訪れる、ユーザー投稿飽和状態に目が回りそう。似たようなことは昔、ミクシィさんでもあった気がします。そういえば、あれもユーザー1000万超えた頃でしたっけ。まあ、こちら方面で起きる出来事は仕方がありません。

ただもうひとつが個人的にはちょっぴり不愉快です。FBさんは最近いくつもの「シェア」をひとまとめに表示するなど、投稿流量が減って見えるよう、仕様を変更しました。「宣伝」というポップアップがガンガン出ていることからも、FBさんは有料広告への動線を太くしようと躍起になっているご様子。当初からの課題だった「あのボタンは、いいね!でいいのか問題」や「シェアってどないやねん」問題などを乗り越え、ようやく愛されるようになってきたたインターフェースだったのに、その幹を抱え込んで、何をするかと思ったら、引っこ抜いてジャーマンスープレックス。「俺はお前の噛ませ犬じゃねえぞ」と藤波辰巳(当時)に噛みついた長州力の気持ちが(本当だったとしたら)、FBユーザーとしてはそのお気持ち、よくわかります。

ザッカーバーグセンパイが、そろそろアーリー・マジョリティ層からレイト・マジョリティ層の流入期に差し掛かっていると見て、「それっ! 回収だ!」となったのか、他に何か根拠があるのかはわかりませんが、こういうことをされると、ユーザーとしてはちょー萎えてしまいます。FB様におかれましては、どこかで方針を大きく転換されることを望みます。敬具。

あ、全然違う話になっちゃった。酒だ。酒。酒持ってこーい。というわけで、何が言いたいかというと作り手が「日本酒は食中酒じゃない」とかいう若者の言葉を真に受けていいものかどうかと考えるto、考えるべきは「誰に向けたどんな酒が受け入れてもらいやすいか」。本物志向だろうがなんだろうが、まず飲んでもらえなければなりません。

「日本酒好きは、本当に本格派の酒を望んでいるのか」とか「昔ながらの酒造りという手法で、日本酒嫌いが取り込めるのか」とか「香り高い日本酒は、本当に食事に合わないのか」とか「そもそも、食事に合わない酒なんてあるのか」と考えるほうが先という、ごく疑問は尽きません。そういえば、去年、杉村啓さんが「お米からできた日本酒に合わない食材などない」というタイトルの記事を書いてらっしゃいました。
http://www.excite.co.jp/News/reviewmusic/20110930/E1317310791767.html

さらにそういえば、数年前に似たようなことを書いてたようなブログを見た気がします。あ、あった。これだ。「大量生産されている酒で、これだけ多くの料理に合う酒というのも世界的に珍しいのでは」だそうで。
http://epsiloncafe.blog.shinobi.jp/Entry/62/

というわけで、一般論として申し上げると、たまたま「日本酒が食中酒じゃない」とか言うおかしな人に噛みつかれても、襟首ひっつかんで食事に合う酒をガブガブ飲ませりゃいいのではないでしょうか。まあお里が雑誌畑の僕としては、記事に切り口が必要なのはよくわかります。誰も悪くはない。誰もが素晴らしい。世界は愛に満ちていると心の底から思っているということだけは声を大にして申し上げさせていただきつつ、おかしな人にガブガブ飲ませてダメなら、ご縁がなかったと勝手口からつまみ出して、その辺に転がしておけばよいと思われます。

そんなこんなで「俺は昔ながらの酒が好きだから、本格派を作るのだ」というお酒、僕は好きです。よろしければつまみも出して頂けるとありがたいのですが、もしアレならおいしいつまみを作れる本を見ながら自分で作ります。というわけで、13日に発売したばかりの『家呑み道場』(給食系男子)、よろしくお願い申しあげます。
http://www.amazon.co.jp/dp/4799311549

2012年10月14日日曜日

新刊「家呑み道場」とチームとしての給食系男子

新刊の『家呑み道場』(http://www.amazon.co.jp/dp/4799312332/ )が昨日書店さんに並びました。前作の『家メシ道場』(http://www.amazon.co.jp/dp/4799311549/ )もそうでしたが、何冊作っても、書店さんに本が並ぶというのは、本当に涙が出るほどうれしいものですが、ユニットで作るというのもまた格別でございます。

年間の書籍の発行点数というのは、ご承知の通りここ数年は横ばい、もしくは減少傾向にあります(http://www.garbagenews.net/archives/1885419.html
)。それも横浜FCのカズのように、年齢からくる体力の限界に挑むようなカッコいいものではなく、BI砲がリングを去った後のプロレス界のような「何をどうしたら」という閉塞的な雰囲気にあふれているわけでございます。新人の著者でなくとも、書籍の企画は通りにくくなりました。「面白いけど、確実に売れるの?」と言われることが増えました。そんななか、何の後ろ盾もない無名の新人ユニットの1050円の本が、バンバン刷られて書店に平積みになるということ自体、奇跡的です。

メディアがどこまで閉塞感にさいなまれているかというと、例えば「紙」の世界でば、「雑誌」というカンバンの存在感が薄くなり、ネット上に無料の情報があふれ、いわゆるゆとり世代ユーザーからは有料メディアと無料のWebの情報の価値や信頼度が等しくみなされてしまうようになり、無料メディアにユーザーを食い取られた有料メディアは必要な予算も削減され、結果当然のように情報の質が劣化し、一部で本当に有料と無料の情報の差がなくなったり、ごく一部では有料メディアと無料メディアのクオリティの逆転が起きたり、そもそもの情報の価値とはなんぞや的な話がぐるぐる状態。似たようなことはほぼすべてのメディアで起きております。

情報価値の乱高下が起き、ノマドサイコーとかなんだかよくわからない風潮が流行ったりするわけですが、10年以上前にノマド的スタイルで仕事をやっていた人なんていくらでもおりました。FAXメールがない当時にはコンビニでクロネコFAXの送受信を行ったり、週刊誌の担当者に「いちいち宅配便送るとき、宛先確認しなきゃいけないの面倒だから、固定の住所を持て」と露骨にイヤな顔をされたり、揚げ句に当時従量課金制だったPHSでつなぎっぱなしで寝落ち連発して、ドコモ先生から10万円単位の明細書を頂いて頭を抱えたり、某週刊プレイボーイに「ネットカフェなら暮らせるぜ」的企画を出したところ、「そんなことやってるのマツーラくんだけだよ」と一蹴されるという、もう涙なしでは語れない足軽時代の記憶が甦ったりするわけですね。ああ、お恥ずかしい。

例によって激しく話が逸れました。話を元に戻すと、まともな情報を提供しようとするとコストがかかるのは当たり前の話で、作ろうとするとカネか人か時間か何らかのコストがかかり、技術が必要わけです。ところがいまはコストをかけたものづくりがむずかしい。人や時間や技術を何とかしようとしても、結局カネがかかるのは企業のM&A戦略を見ても明らかなわけです。そうこうしているうちに技術を持っている人が現場からいなくなっってコンテンツ崩壊、と。なんだか元切込隊長風の話になってきましたが、あくまで『家呑み道場』の話だということを忘れてはいけません。

必ずしも流行るとは限りませんが、結果を見るとまっとうなもののほうが一定の成果を上げやすい。そのまっとうなものを作るには、技術も含めたコストがかかる。「給食系男子」という趣味のユニットが、ちょっとだけ世の中に出ることができたとすれば、本来かなりのコストがかかるノウハウや知見、愛情を「趣味」だからと本に惜しみなく注入したこと。『家メシ道場』のとき、ディスカヴァーさんから頂いた企画も本当に僕らに合っていたし、当初メンバーが引くほど刷ってくださったのも、僕らのような無名のユニットにはとてもありがたいことでした。

ひとりずつでは、当然料理のプロにもレシピのプロにもかなわない。でも、料理は好きだし、メンバーには実家が農業を営んでいたり、仕事で「食」に関わる人もいる。「食」に関する知見は、人数がいてフィールドが違うからこそ、積み重ねられるものがあるわけです。

本づくりという面では編プロである弊社のエースが僕をこきつかったりしながら、知恵を絞って愛情を注ぎ込めば、何とかなる。いわゆる「プロ」との差別化や、新しいレシピの開発につながるような、調理の科学的な資料も趣味で集めていたし、それこそ周辺にはレシピのプロもいる。おまけに読者にどう届けるかというコミュニケーションに知見のある人も周囲にいて、六合さんを筆頭にソーシャル展開が上手な人もいれば、五合さんのようにアナログコミュニケーションも上手い人も。そのほか九合さんのように流通の見地からアイディアを出せるメンバーもいます。

実際、メンバー構成のバランスの良さはいろんな形で伺えて、話を詰めるときのようにピリピリムードになりそうなとき、場を丸めてくれる四合さんがいて、誰もモノを言えなさそうな重苦しい空気になりそうなとき、口火を切ってくれる十合さんもいる。毎月イベントができる「場」を作ってくれる一合さんがいて、イベントなどで料理の手に困ったら、預けられる八合さん、十合さん、壱壱合さん、十二合さんなどなどいろんな意味で精鋭ぞろい。さらにオッサンだけだと見た目がしんどいところ、ピチピチの若者一合半くんや十三合さんがなぜかいる。

そこに、食べ物に強固な愛情を持つ二合さんが「食べ物愛」を注入してくれて、「カンタンなものしか作れない……」と時折、自信なさそうにしている二升八合さんのおかげで、時に偉そうなレシピになりそうなところに歯止めがかかる。「惰性」になりそうなときには、新しいメンバーが参加して、またユニット自体が活性化するわけです。

それぞれの役割がまたがっていたり、多岐に渡っているので、「あれだけやったんだから」ときどきカン違いしそうになったりもします。メディア慣れしていない素人集団なので、時には調子に乗ったりもしてお恥ずかしい姿をお見せしたりすることもあります。こうした状況に慣れていないもので何卒ご容赦をお願いしつつ、掲載レシピをあれこれアレンジして楽しみながら作って頂けると、友達が増えたような気分になって、僕らはとてもうれしく思います。

新刊は、東京では比較的店頭に並んでいるようですが、郊外などでは書店にまだ並んでいないところもあるようです。お手元に届いていない方、申し訳ありません。日本では、一日あたり平均約200冊、年間7万冊以上の新刊が出版されていて、初版をビックリするほどたくさん刷って頂いたのに、なかなか「ほしい」という方に行き渡らないのが実情だったりします。

もし「ほしい!」という方は、どうぞ書店の店頭やお電話で「家呑み(家メシ)道場って本、ありますか?」お問い合わせください。すると僕らの目標である「売れたらみんなで温泉!」に、一歩近づけますもので、どうぞよろしくお願い申しあげます。

2012年10月12日金曜日

IMFと和食文化とヲタク文化



ゲスト一服、銀座の食に満足げ 日本開催のIMF・世銀総会
2012.10.11 05:00   
 東京・銀座の老舗レストランが一堂に会し、国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会で来日しているゲストやその家族を対象とした試食会「IMFイン銀座」を10日、開催した。

 すしや天ぷら、日本酒など日本食から中華料理、スペイン料理まで、世界中の食文化が集まる銀座をPRしようというもので、日本食レストラン海外普及推進機構と銀座料理飲食業組合連合会が共催、11日まで開催している。

http://www.sankeibiz.jp/business/news/121011/bsd1210110501000-n1.htm

「天一」や「赤坂璃宮」「寿司幸本店」「スペインクラブ銀座」など16店舗が参加しているという、このイベント。他に「伊勢廣」「梅林」「三笠会館」「キハチ」「つばめグリル」など、名だたる名店が出店していらっしゃるようで、バランスのいい出店になったんじゃないかと思われます。

こうしたイベントに際しての出店依頼は、作業自体困難を極めることが多いと思われます。いまの「日本の食」が海外からどう見られているか考えた時に、残念ながら「放射性物質」を抜きに考えるわけにはいきません。「海外から要人を招く」とき、何らかの安心できる保証は必要不可欠。今回は形として「政府の保証」のある「一定の評価を得られた店」、「一定の規模のチェーン」を選び、交渉していった結果、このラインナップになったと思われます。

きっと当初の企画案には「星」なども、セレクト基準案として出たのかもしれませんが、「外資系のタイヤ外車にそこまで与していいのか」などの意見や、店舗から断られたりして、今回の店舗に落ち着いたという妄想がむくむくと湧いてくるわけでございます。まあ、雲の上で起きていることはよくわかりません。

「もっといい店があるじゃないか」という意見もおありでしょうが、サービスに対する満足度や味覚の基準は、主観的なものしかないので、いい落とし所だとは思います。

といっても、こういうことがあるたびに、いちいち担当さんや広告代理店さんが、東奔西走してしまうのもアレなので、そろそろ国立の料理大学とか、ポップカルチャー研究所とか、国策として研究機関を作ったほうがいいような気がします。「権威ある主観」を土台にするのではなく、客観的な事実を大量に積み重ねたものをベースにした考察を主観に導くような文化研究機関。

マンガで言うと、漫画評論家の伊藤剛さんが「ぼくら語り」「マンガ語り」から「マンガ論」へ、と言っていたのと似ているかもしれませんが、マンガにしても「(賞などの)権威による主観」×「読者の人気」がメインストリームになっている側面はありますし、その歴史的・文化的背景からしても料理よりは掘り下げやすいので、市井の研究者が育ちやすい側面もあるのかもしれません。実際、京都精華大学などは研究機関というより、養成機関という側面が強いものの、「マンガ学部」を立ち上げています。

そうした動きを国策でさらに強化して、体系的にまとめながら、発信力を強めていく。「日本食」と「マンガ」は、海外に発信しうる数少ない日本のオリジナルコンテンツです。料理にしても、バブル期などカネがジャブジャブしているうちに体系だてておけば、もっといいタイミングでユネスコの世界遺産に「和食」の登録申請が出せたのではないかという気もします。(まあ、バブル当時のムードとしては無理だったとは思いますが)
http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qaetc/20120208-OYT8T00784.htm

若者が「夢も希望も持てない」とか、それが少子化の遠因じゃないかとかあれこれテキトーな妄想は膨らますことができるにしても、「勝ち組になりたい」という若者が上を見た時に、すぐに天井が見えてしまうのは、ちょっとよろしくありません。「叩き上げ」の力が必要だとしても、対抗軸としてのエリート育成プログラムがあれば、より文化は強固に、深くなるじゃないかとか、そんな声がもうちょっと大きく聞こえてきてもいいような気がします。

海外と勝負できるジャンルに、きちんと人材を育てる土壌がないのは、やはりとてももったいなく、食文化もヲタク文化も、オリジナルコンテンツとして日本が圧勝し得る数少ないジャンルなのになあ。がんばれ、Tokyo Otaku Mode(https://www.facebook.com/tokyootakumode )なんてことを考えながら、今夜も打ち合わせと称して、夜の街へと繰り出してまいる所存です。ヒック。

2012年10月11日木曜日

【メモ】うまい/うまくないコミュニケーションを考える



最近あちこちで、内輪のコミュニケーション手法をパブリックな場に持ち出す人を見かける。どうもうまくない。学生や子どもならまだわかるが、40代以上の立派なオトナがだ。だがリアルにせよ、ソーシャルにせよ、全員が知り合いではない場で場の一部にしか通じないコミュニケーション手法を持ちだして、内輪ウケを狙おうとしたり、自分の居場所を確保・アピールしようとしたとき、蚊帳の外に置かれた人を傷つけたりしないかとか、自分の振る舞いが外からどう見られるかとか考えないんだろうか。

――。たぶん考えない。僕もそうだ。いまはなるべくしないように心がけているけど、それでもやってしまっていると思う。特に20代など、自分に決定権がない(と思い込んでいる)ときには、内輪受けで安心したがったり、その場のエライ人――決定権者に喜ばれるような行動を取りがちになる。でも「決定権者」とは誰なのか。

実は人ではない気がする。「場」なんじゃないか。

どうもカン違いしている人が多いように見えるが、最後に「よし、こうしよう」と言葉を発するのが、決定権者ではない。敢えて「誰」とするならば、そこに至る過程を考え抜き、納得できるよう伝達できる能力がある人が「決定権者」とmやすい。だが、そもそも「決定権」という概念自体、便宜上必要だから使われているにすぎない。

そもそも世の中に本当の意味での「決定権」などない気がする。手続きや組織運営上必要だとしても、本来そこにあるのは「決定責任」で、決定するという行為自体、権利でもなければ偉いわけでもない。決定したことにケツを持つことこそが重要なんじゃないか。だいたい「決定権者」という言葉が頻繁に使われるコミュニティは、寿命が短い。

資質としては、「最適なプランを考えぬく能力があり」、「人の話に耳を傾け」、「いい意見が出たら、自分の意見を瞬速で取り下げ」、「いい意見に乗っかり」、「場をコントロールできる」人が「決定権者」になりやすい。結果としてエラくなるのは、「決めたことに責任を持つ」という、本来当たり前のことをやり続ける人が多くなる。

いかん。最初に書こうとしたこととかなりズレた。書きたかったのは、コミュニケーションのズレの話だった。

小さなコミュニティにありがちなのは、「決定権者」と思しき人に露骨にすりよってコミットしようとする人や、パワーゲームでそこを支配したがる――「決定権者」になりたい人だ。そういう人は、視野が狭かったり、写真用語で言う被写体深度が浅いことが多い。

昔、何かの音楽誌でどこかの大物アーティストが「ステージに立ったら、一番後ろの客の目を見るんだ。次に一番近くを見る。逆の順番のこともあるけど、一番後ろの客を決してないがしろにしちゃいけない」とステージに立つ時の心構えを説いていた。バンド小僧だった僕は「そんなん見えるかいな」と思ったが、試してみると不思議と見えた(ような気がした)。

当時、上手いコミュニケーションがはかれたかはわからない。ただ最前列の客ばかりに目をやっていたときとは、違うコミュニケーションができたとは思う。

以来、できているかどうかは別として、飲み会でも何でも「最後列の客」をなるべく気にかけるようにしている。最前列にばかり懸命にコミュニケーションをする人や、内輪のコミュニケーションにばかり腐心する人が、「決定権」を持ったのを見たことがない。

実は一番シビアな客は、最後列にいる。

ところで、以下のニュース、リライトがかかっているっぽく、「決定権」と橋下代表が言ったかはわからない。このレベルで言葉尻を捕まえられるようなエラーはやらかしそうにない気もする一方、雰囲気としてはそう言いそうな気もしないでもない。本来、目的さえ正しければ、言葉尻や手段はどうでもいいとは思うが、一方でうまいコミュニケーションを成立させることなく、目的を果たすのもまた難しい。


橋下代表「決定権は自分に」 日本維新、初の全体会議 
「日本維新の会」初の全体会議に臨む、橋下徹代表(中央)ら(6日、大阪市住之江区)=共同
 橋下徹大阪市長が代表の新党、日本維新の会は6日、所属する国会議員と地方議員による初めての全体会議を大阪市内で開いた。橋下氏は終了後の記者会見で「最後にバランスを取って決定する役割は自分にある」と述べた。今年度予算の財源を裏付ける赤字国債発行法案について「政局や解散に追い込むのに使うのはやめる」との考えを示した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDE06001_W2A001C1PE8000/

2012年10月9日火曜日

イギリスの食は変わったのか?

テレビ東京「モーニングサテライト」10月2日(火)放送分での
「イギリスで食を改善する動きが広がっている」という特集。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/feature/post_27904

イギリス人への街頭インタビューで「つまらない料理」「質が低い」というナイスコメントを引き出して、「イギリス人ですら自虐的な印象を語る」という見事な前フリから、「五輪にのぞむにあたり、自国の食文化を改善しようという、食料改善団体サステイン」へとつなげるあたりは大変に(民放として)素晴らしい。

さすが、何があろうとも自局の編成を守り続ける、民放の良心、テレビ東京のさらに良心的番組「サテライト」系(今回は「モーニングサテライト」)。

ただし、「イメージ改善を目指すイギリスの食」というアナウンスは随所に盛り込まれていたものの、前半はサステインの活動はちょこっとで成果のレポートはなし。中盤は「キャピタル・グロース計画」という都市農園計画の話。後半はワイン産業、とりわけファンド業からワイン生産者へ転身した人のルポ。

うーむ。全体としてイギリスの食が大きな転換点を迎えているようには見えず。メイン業務が週刊誌のライターだった頃、ちょっと強引に企画に合わせた形で複数の事例を組み合わせる手法はよく使わせていただきましたが、もう少し全体の流れは美しかったような気が。このあたり、企画が単に強引だったのか、それとも編集の問題で本当に全体としての「イメージ改善を目指すイギリスの食」ムーブメントが起きているのか。どっちなんだろう。詳しい方にぜひ教えを請いたい。

ちなみにWiki先生によれば、イギリスの自給率は70%と高く、機会化された集約農業が主流とのことなので、農産物の質全体を上げるには、相当なイノベーションが必要になると思われるのだけれど、「食」の進化という意味では飲食店が進化すれば済む話でもあり、はてさて。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88#.E8.BE.B2.E6.A5.AD.E3.81.A8.E6.BC.81.E6.A5.AD

実際、最近イギリスに行った人や、イギリス食に詳しい人に話を聞くと、最近のイギリスの食は、マジで改善されているっぽい雰囲気もあるので、何かの機会に最近のイギリスごはんを、ぜひ本場でいただきたいものでございます。

2012年10月8日月曜日

秋なのに、宇都宮と浜松の春(餃子)

原稿を書くたびに「食に詳しい編集・ライターの」とか「食文化に詳しい」と大振りなリードをつけていただける、NEWSポストセブン先生向けに7月頃、宇都宮と浜松の「餃子バトル」について書いたことがある。
http://www.news-postseven.com/archives/20120718_128707.html
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120718-00000020-pseven-soci

要は総務省の家計調査で、「2011年の餃子の世帯あたり購入額日本一」で浜松市がトップの座を奪取し、「ギョーザの町」宇都宮は2位に陥落したとか、そのニュースが宇都宮の地元紙、下野新聞の一面を飾っただとか、揚げ句に宇都宮が市民に檄を飛ばすWebを作ったという、メディア的に言うと「ヒマネタ」だったが、思いのほかご好評を頂き、いやビックリ。

実はそれ以前から(餃子界においては)宇都宮と浜松の間に結構な摩擦があったと言われている。どちらも長く地元に根づいていた餃子を街おこしに使ったという点では同じだが、1990年代から餃子で街おこしを行い、その後、地元の餃子店が地道に活動し続けてきた宇都宮と、2000年代中頃になって街おこしのネタを探し、独自調査を持ちだしてでも「とにかく盛り上げよう!」という浜松の間には、理念らしきところ温度差があり、その差がイベントなどの活動に現れ、感情のもつれが生じるようになってしまった。その間を、2011年に「餃子サミット」の主催地となった三重県・津の担当者が取り持ったという話。
http://www.news-postseven.com/archives/20121007_147393.html
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121007-00000017-pseven-soci

2012年に行われた「浜松ぎょうざ祭り」に、初めて「宇都宮餃子会」の加盟店が出店し、めでたく「雪解け」と報じられたわけだが、NEWSポストセブンの原稿はYahoo!ニュースにも配信されていて、月間45億PVを叩きだすとYahoo!トピックスに拾い上げられた。ここに拾われると、記事の拡散力が文字通りケタ違いのものとなる。といっても、TwitterとFacebookでは微妙に好まれるネタが異なる。まったく同じ原稿を配信していても、驚くほど反応が違う。

TwitterとFacebookというクラスタごとに、好まれる情報や切り口が変わり、それに応じてリーチの範囲が変わる。マーケ的に言うと、Yahoo!ニュースとNEWSポストセブンにおけるユーザー定性の違いが、そのまま反応の違いにつながる。Y!のほうはライトユーザー、「浜松が餃子? うなぎじゃないの?」となり、ポストセブンでは「こういうバトルはプロレス的」となる。言い換えればY!はテレビ的でありPUSH型のメディアであり、ポストセブンはより雑誌的なPULL型のメディアとも言える。当然、ユーザーの反応やアプローチの仕方も異なる。

ちなみにY!同様、ポストセブンのフィードがされているAmeba Newsは行動特性として主婦ライクなユーザーが多く「アメーバなう」のコメントを見ると、「私は××が好き」とか「餃子はあまり好きじゃない」というような極私的or限定された周囲のコミュニティ相手なら聞こえても聞こえなくてもいいや的コメントが多い。

さらにちなみに、アメーバで「なう」「アメブロ」「Twitter」「FB」へのフィード、もしくはいいね数を見ると、5:1:2:3の比率となっていて、アメーバにしてはFBの「いいね!」の多さが目につくものの、このあたりはユーザー数の変化とも関わるとこなので、もう少し様子を見てみることに。(※ポストセブンはTw1:FB2、はてブ0.25)。ただB級グルメに絞っても、カレーはTwが多かったり、節約ネタはアメーバが強かったり、チャネルとフィード先の関係はさまざまな要件であれこれ変わるようで、僕のつたないエクセル能力よりも感覚値で捉えたほうが正解に近いことが多いのが切ないところです。うむー。

本来、マーケというより、コミュニケーション領域の話でしょうが、マーケティングはソーシャルコミュニケーションのメタ視点であるNAVERまとめのようなものとも言えそうな気もするわけで、書き手としての僕はマーケとコミュニケーションを領域わけすることの意味を見出せません。

ちなみに、Y!にもポストセブンにも共通するのが、次のような感想。
https://twitter.com/funnyfunny22/status/255170387967619072

「どうでもいいけど、面白い」と、ユーザーさんに反応してもらえるような原稿を狙って書くのはとてもむずかしい。単に「どうでもいい」だけでは読者は何の興味も示してくれない。「面白」くするには目線を高くしちゃうのがラクですが、高くなり過ぎると反発をいただき、意味のない(もしくはネガティブな)炎上につながる。結局のところ、世に向けて何らかのボールを投げるというのは、友達に「あいつ、面白くて、いいやつだね」と思ってもらうのと同じくらい、難しいコミュニケーションなわけで、つまるところ一生懸命「いい」「面白い」に誠実なボールを投げ続けるしかないというわけでございます。

ただ、自分で書いておいて言うのもアレですが、某大陸方面で日本大使館や領事館の窓ガラスがガンガン割られたり、リアル炎上が起きたりしているなか、国内のネットで起きている事象を「炎上」と呼びつづけていいのかは、激しく悩ましいところですが、そんな世の中的にはわかりきったひとりごとを商業媒体で書くわけにもいかないので、こんなとこでこそこそとBlogにUPしてみるわけでございます。