2012年10月8日月曜日

秋なのに、宇都宮と浜松の春(餃子)

原稿を書くたびに「食に詳しい編集・ライターの」とか「食文化に詳しい」と大振りなリードをつけていただける、NEWSポストセブン先生向けに7月頃、宇都宮と浜松の「餃子バトル」について書いたことがある。
http://www.news-postseven.com/archives/20120718_128707.html
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120718-00000020-pseven-soci

要は総務省の家計調査で、「2011年の餃子の世帯あたり購入額日本一」で浜松市がトップの座を奪取し、「ギョーザの町」宇都宮は2位に陥落したとか、そのニュースが宇都宮の地元紙、下野新聞の一面を飾っただとか、揚げ句に宇都宮が市民に檄を飛ばすWebを作ったという、メディア的に言うと「ヒマネタ」だったが、思いのほかご好評を頂き、いやビックリ。

実はそれ以前から(餃子界においては)宇都宮と浜松の間に結構な摩擦があったと言われている。どちらも長く地元に根づいていた餃子を街おこしに使ったという点では同じだが、1990年代から餃子で街おこしを行い、その後、地元の餃子店が地道に活動し続けてきた宇都宮と、2000年代中頃になって街おこしのネタを探し、独自調査を持ちだしてでも「とにかく盛り上げよう!」という浜松の間には、理念らしきところ温度差があり、その差がイベントなどの活動に現れ、感情のもつれが生じるようになってしまった。その間を、2011年に「餃子サミット」の主催地となった三重県・津の担当者が取り持ったという話。
http://www.news-postseven.com/archives/20121007_147393.html
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121007-00000017-pseven-soci

2012年に行われた「浜松ぎょうざ祭り」に、初めて「宇都宮餃子会」の加盟店が出店し、めでたく「雪解け」と報じられたわけだが、NEWSポストセブンの原稿はYahoo!ニュースにも配信されていて、月間45億PVを叩きだすとYahoo!トピックスに拾い上げられた。ここに拾われると、記事の拡散力が文字通りケタ違いのものとなる。といっても、TwitterとFacebookでは微妙に好まれるネタが異なる。まったく同じ原稿を配信していても、驚くほど反応が違う。

TwitterとFacebookというクラスタごとに、好まれる情報や切り口が変わり、それに応じてリーチの範囲が変わる。マーケ的に言うと、Yahoo!ニュースとNEWSポストセブンにおけるユーザー定性の違いが、そのまま反応の違いにつながる。Y!のほうはライトユーザー、「浜松が餃子? うなぎじゃないの?」となり、ポストセブンでは「こういうバトルはプロレス的」となる。言い換えればY!はテレビ的でありPUSH型のメディアであり、ポストセブンはより雑誌的なPULL型のメディアとも言える。当然、ユーザーの反応やアプローチの仕方も異なる。

ちなみにY!同様、ポストセブンのフィードがされているAmeba Newsは行動特性として主婦ライクなユーザーが多く「アメーバなう」のコメントを見ると、「私は××が好き」とか「餃子はあまり好きじゃない」というような極私的or限定された周囲のコミュニティ相手なら聞こえても聞こえなくてもいいや的コメントが多い。

さらにちなみに、アメーバで「なう」「アメブロ」「Twitter」「FB」へのフィード、もしくはいいね数を見ると、5:1:2:3の比率となっていて、アメーバにしてはFBの「いいね!」の多さが目につくものの、このあたりはユーザー数の変化とも関わるとこなので、もう少し様子を見てみることに。(※ポストセブンはTw1:FB2、はてブ0.25)。ただB級グルメに絞っても、カレーはTwが多かったり、節約ネタはアメーバが強かったり、チャネルとフィード先の関係はさまざまな要件であれこれ変わるようで、僕のつたないエクセル能力よりも感覚値で捉えたほうが正解に近いことが多いのが切ないところです。うむー。

本来、マーケというより、コミュニケーション領域の話でしょうが、マーケティングはソーシャルコミュニケーションのメタ視点であるNAVERまとめのようなものとも言えそうな気もするわけで、書き手としての僕はマーケとコミュニケーションを領域わけすることの意味を見出せません。

ちなみに、Y!にもポストセブンにも共通するのが、次のような感想。
https://twitter.com/funnyfunny22/status/255170387967619072

「どうでもいいけど、面白い」と、ユーザーさんに反応してもらえるような原稿を狙って書くのはとてもむずかしい。単に「どうでもいい」だけでは読者は何の興味も示してくれない。「面白」くするには目線を高くしちゃうのがラクですが、高くなり過ぎると反発をいただき、意味のない(もしくはネガティブな)炎上につながる。結局のところ、世に向けて何らかのボールを投げるというのは、友達に「あいつ、面白くて、いいやつだね」と思ってもらうのと同じくらい、難しいコミュニケーションなわけで、つまるところ一生懸命「いい」「面白い」に誠実なボールを投げ続けるしかないというわけでございます。

ただ、自分で書いておいて言うのもアレですが、某大陸方面で日本大使館や領事館の窓ガラスがガンガン割られたり、リアル炎上が起きたりしているなか、国内のネットで起きている事象を「炎上」と呼びつづけていいのかは、激しく悩ましいところですが、そんな世の中的にはわかりきったひとりごとを商業媒体で書くわけにもいかないので、こんなとこでこそこそとBlogにUPしてみるわけでございます。

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