2012年10月16日火曜日

酒とFacebookとおいしいつまみ



日本酒 本質は食中酒なり
「日本酒は食中酒を目指すべき」と語る堀江さん(出雲市で)
 日本酒を研究している出雲市今市町の酒類コンサルタント堀江修二さん(76)が、約50年間の研究成果をつづった著書「日本酒の来た道~歴史から見た日本酒製造法の変遷」を出版した。焼酎やワインに押されてシェア(市場占有率)が低下している日本酒。著書では「食事に合う『食中酒』を志向した酒造りこそが人気を取り戻す方法」と訴えている。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20121013-OYT8T00969.htm


掲載されたのは、読売の島根版。わかる気もするし、「?」という気もする。「わかる気がする」のは、僕自身が食事と一緒に楽しめるお酒が好きだから。何が「食中酒じゃない」のかはわかりませんが、華やかなお酒も嫌いではないし、まあいろんなお酒が飲めるのは、大変ありがたいことで、ええじゃないかといういい加減な嗜好であり、思考なわけでございます。

「?」と首をひねったのは、「そもそも日本酒は食中酒」じゃないかと当たり前のように思っているので、「食中酒に適さないと若者に言われたことに動揺した」が記事のニュアンス通りだとしたら、まあ落ち着いておとっつぁん。肩でも揉むから、その若者の言ったことが本当かどうか考えようじゃないの。ついでにその「人気を取り戻す方法」が正しいアプローチなのか一緒に考えようじゃないの、と思ってしまうわけです。そんなときにFacebook先生のことを思い出しました。

このところ、Facebookのアクティビティが落ちているように見えます。あれこれ見ていると、投稿に対してつけられる「いいね!」や「シェア」が明らかに減った印象があります。

理由のひとつは双方向を前提としたSNSの構造限界でしょうか。ユーザー増→ユーザーそれぞれの友達増→TLの流速高速化→意識の高いw((C)常見さん)ユーザー投稿の比率減→(見かけ上)ノイズ的投稿増→ますます流速高速化→リーチしにくくなるという、くるくるスパイラルです。「友達多いほうがエライ」的ソーシャルサービスにいつか訪れる、ユーザー投稿飽和状態に目が回りそう。似たようなことは昔、ミクシィさんでもあった気がします。そういえば、あれもユーザー1000万超えた頃でしたっけ。まあ、こちら方面で起きる出来事は仕方がありません。

ただもうひとつが個人的にはちょっぴり不愉快です。FBさんは最近いくつもの「シェア」をひとまとめに表示するなど、投稿流量が減って見えるよう、仕様を変更しました。「宣伝」というポップアップがガンガン出ていることからも、FBさんは有料広告への動線を太くしようと躍起になっているご様子。当初からの課題だった「あのボタンは、いいね!でいいのか問題」や「シェアってどないやねん」問題などを乗り越え、ようやく愛されるようになってきたたインターフェースだったのに、その幹を抱え込んで、何をするかと思ったら、引っこ抜いてジャーマンスープレックス。「俺はお前の噛ませ犬じゃねえぞ」と藤波辰巳(当時)に噛みついた長州力の気持ちが(本当だったとしたら)、FBユーザーとしてはそのお気持ち、よくわかります。

ザッカーバーグセンパイが、そろそろアーリー・マジョリティ層からレイト・マジョリティ層の流入期に差し掛かっていると見て、「それっ! 回収だ!」となったのか、他に何か根拠があるのかはわかりませんが、こういうことをされると、ユーザーとしてはちょー萎えてしまいます。FB様におかれましては、どこかで方針を大きく転換されることを望みます。敬具。

あ、全然違う話になっちゃった。酒だ。酒。酒持ってこーい。というわけで、何が言いたいかというと作り手が「日本酒は食中酒じゃない」とかいう若者の言葉を真に受けていいものかどうかと考えるto、考えるべきは「誰に向けたどんな酒が受け入れてもらいやすいか」。本物志向だろうがなんだろうが、まず飲んでもらえなければなりません。

「日本酒好きは、本当に本格派の酒を望んでいるのか」とか「昔ながらの酒造りという手法で、日本酒嫌いが取り込めるのか」とか「香り高い日本酒は、本当に食事に合わないのか」とか「そもそも、食事に合わない酒なんてあるのか」と考えるほうが先という、ごく疑問は尽きません。そういえば、去年、杉村啓さんが「お米からできた日本酒に合わない食材などない」というタイトルの記事を書いてらっしゃいました。
http://www.excite.co.jp/News/reviewmusic/20110930/E1317310791767.html

さらにそういえば、数年前に似たようなことを書いてたようなブログを見た気がします。あ、あった。これだ。「大量生産されている酒で、これだけ多くの料理に合う酒というのも世界的に珍しいのでは」だそうで。
http://epsiloncafe.blog.shinobi.jp/Entry/62/

というわけで、一般論として申し上げると、たまたま「日本酒が食中酒じゃない」とか言うおかしな人に噛みつかれても、襟首ひっつかんで食事に合う酒をガブガブ飲ませりゃいいのではないでしょうか。まあお里が雑誌畑の僕としては、記事に切り口が必要なのはよくわかります。誰も悪くはない。誰もが素晴らしい。世界は愛に満ちていると心の底から思っているということだけは声を大にして申し上げさせていただきつつ、おかしな人にガブガブ飲ませてダメなら、ご縁がなかったと勝手口からつまみ出して、その辺に転がしておけばよいと思われます。

そんなこんなで「俺は昔ながらの酒が好きだから、本格派を作るのだ」というお酒、僕は好きです。よろしければつまみも出して頂けるとありがたいのですが、もしアレならおいしいつまみを作れる本を見ながら自分で作ります。というわけで、13日に発売したばかりの『家呑み道場』(給食系男子)、よろしくお願い申しあげます。
http://www.amazon.co.jp/dp/4799311549

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