2014年2月11日火曜日

農水省の玄関ロビーに、世界に向けた茶室が設置されるという斜め上施策

農水省玄関ロビーに茶室設置 「和」の心でおもてなし
という記事が日本食糧新聞の10日付の記事に。
http://news.nissyoku.co.jp/Contents/urn/newsml/nissyoku.co.jp/20140210/ITO20140203043509683/1

やー、どう考えても、置き場所はそこじゃないでしょう。

とは思ったものの、日本食糧新聞は有料会員じゃないと記事全文を読めないので、Google先生に聞いてみました。

すると、どうやら日本食糧新聞の報道のタイミングは不思議なくらい遅かったようで、一週間ほど前にこの茶室に素材を提供した地方の地元紙があれこれ取り上げておりました。

鳥取製の組立茶室で和文化PR 農水省で展示 (山陰中央新報/2月3日)
http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=544029005

農水省に茶室 「和」を発信 掛川茶を提供(静岡新聞/2月4日)
http://www.at-s.com/news/detail/933008743.html

それにしても、こういう予算の使い方はどうなんでしょう。誰が思いついて、どこから横槍が入ったのかわかりませんが、不時着感満点です。農水省がBRUTUSの農業特集に3000万円落っことした(http://www.kiryuusha.com/blosxom.cgi/books/090206a.html )ときには、狙いやコミュニケーションの手法は理解できました。しかし今回は「誰に向けた」「どんなアピールなのか」、まるでわかりません。

国内各地から素材を募り、仕立てた茶室を農水省の玄関ロビーに置く。各地方からいらした陳情者の方々は、さぞかし満足して郷里にお帰りになられることでしょう。でも、どうも農水省さんの狙いは違うようです。

 「心でおもてなし、食でおもてなし」。林芳正農林水産大臣は農水省正面玄関ロビーに設置した茶室の除幕式で力強く訴えた。和食のユネスコ無形文化遺産への登録や、2020年のオリンピック・パラリンピックの招致成功など日本の文化や食にとってPRの好機となった中で、農水省は正面玄関ロビーに国産の材料をふんだんに使った茶室を3日から3月28日まで設置、来庁者に日本文化の良さを知ってもらう狙い。
なんと、農水省のロビーから世界に向けて、日本の文化や食文化を発信するという斬新な企画のようです。えっ。「世界」とは書いてない? 確かにそのとおりですが、「日本の文化や食にとってのPRの好機」というならば、「来庁者」は世界からのお客様を想定しているに違いありません。農水省を訪れるような日本人は日本の文化や食に造詣が深い方ばかりでしょう。

そしてこの茶室、果たして使えるんでしょうか。作るなら、来客をその茶室でもてなすことができる施設でこそ、PR効果は生まれるというもんです。実際に炭を熾して、茶を点てることができる本物の茶室。機能のない巨大な置物を作ったとしたなら、2か月間で何をどうしようとしたんでしょうか。もしや、その間に海外の要人が農林水産省を訪問する予定があるんでしょうか。きっとそうに違いありません。そう考えないと、やりきれません。

と思ったら、都立大の銘米穀販売店「スズノブ」のお米マイスター、西島豊造さんが「なんか、もったいないと思う」とBlogに書いてらっしゃいました。さすがに反応がお早い。
http://blog.goo.ne.jp/nishijima2468/e/907e549a04b29deb094d8492add4a0e8

どうせ置物なら、羽田や成田あたりの空港でいいじゃないですか。もしくは銀座ミツバチプロジェクト(http://www.gin-pachi.jp/ )と連携して、銀座の百貨店の屋上に設置するとか何かしらできなかったんでしょうか。ともあれ現物を見ないことには、これ以上何も申せませんので、期間中、一度くらいはのぞきに行ってみようと思います。さて本日は、以前銀座にあった、お米ギャラリー銀座(※後のごはんミュージアム……も閉館しております)に思いを馳せながら、懸案かつ佳境となっている原稿の直しに戻ります。

2014年2月1日土曜日

「えっ。吉祥寺が?」と煽り煽られ人気の街ランキング物語2013

某まとめサイトで、「人気の街ランキング1位から吉祥寺が脱落!1位はまさかのあの街でした!」という煽り感満点の見出しを拝見して、一瞬、「えっ!?」と絶句してしまいました。誰もがそうだと思うんですが、生まれ育った街の地名が登場すると、無条件に反応。うっかり脊髄反射してしまいそうになります。

ソースとなった調査はHOME'Sさんのものですね。まとめサイトへのリンクは極力はりたくないので、詳しい順位は原典でご覧くださいませ。
http://www.homes.co.jp/kurashito/life/ranking/ranking025/

【2013年、いちばん人気だった街は?】全国エリア別 年間ランキング発表!
1位 池袋
2位 荻窪
3位 大宮
4位 三軒茶屋
5位 川崎
6位 高円寺
7位 吉祥寺
8位 恵比寿
9位 葛西
10位 中野

僕の大好きな吉祥寺は7位。仰天です。不動の1位だと思っていたのに、マジか……。ところが、1位の「池袋」のキャプションを見て、「はて?」と首をひねってしまいました。

「毎年不動の人気を誇る池袋」

ですと!?

特に引っ越しとか物件を買うとか考えていないうちに、世の中はそんなことに……。都内の路線の延伸効果がこんな形になってあらわれたのか……と釣られかけたのですが、さすがにいくらなんでも僕の知っているランキングと違いすぎるので、SUUMO先生に聞いてみました。
http://suumo.jp/edit/sumi_machi/2013/kanto/

SUUMO2013
1位 吉祥寺
2位 恵比寿
3位 横浜
4位 目黒
5位 鎌倉
6位 自由が丘
7位 新宿
8位 品川
9位 表参道
10位 中目黒

安心・安定のランキングです。まさに人気不動の吉祥寺。いつかは帰りたいけど、いつの間にか高くなりすぎて、もうたまに遊びに行くくらいが関の山という状態はまだまだ続きそうです。まあ、調査元、調査方法、係数なんかが変わらなければ、そう大きくは動かないのは、自明でございます。

ちなみに調査方法やタイミングも全然違っていて
HOME'Sは「2013年の1年間に賃貸で問い合わせの多かった街」
SUUMOはネットアンケート調査(2013年1月実施)

HOME'Sは「いま、現実的に住みたいと思っている街」で、値頃感と複数路線のアクセスの良さ、つまりそこを拠点にどう動けるかという、住む人のスピード感が感じられます。現役バリバリ。動的な街ランキング。

SUUMOは「いつかは住みたいあこがれの街」。ゆったり感と街としての完結性、都内・近郊でプチ旅行的なレジャーを楽しめる街。「いつかは沖縄の離島に住みたい」と似たリタイヤマインドを感じます。静的な街ランキング。

それ以外にもあれこれ違いはあります。
HOME'S 安くて旨い店が多い。予約とかなにそれな店も
SUUMOには高くて遠い店が多い。予約してないってなにそれな店も。

HOME'S 坂が少ない。自転車でGOGO!
SUUMO 坂が多い。徒歩10分以内は歩くけど、その外はクルマで。

HOME'S 賃貸
SUUMO 億ションか戸建て

とまあ、全然属性が違うわけで、ここまで対象が違う調査から項目を引っ張ってきて「脱落」とはメディアでやったら大変な燃え様が目に浮かぶわけですが、まとめサイトさんですから仕方がありません。いつかは、2ちゃんねる以外のネタ元への配慮のお気持ちも、少しは持っていただけるといいなあと思う次第でございます。

と思ったら、どこのニュースサイトも「関東1位は吉祥寺でなく…」とか見出しを打っておりまして、こんなことで読者の時間を奪うのはどうなのかと、見出し規制すら心配になりますが、メディアに検閲とか特定秘密保護法だとかいう図書館戦争さながらの未来が見えてきかねないので、みなさん良識の範囲内で飛ばしまくるがいいですよ。少なくともニュースサイトは「ダウン!」とか「脱落」だなんて、同じ調査かのような見出しはつけちゃいけないでしょ。

いつかは、まとめサイト専用URLへの埋め込み自動課金システムとかできてほしいと思うくらいに、すっかり釣られ気分でございましたが、そういえば特定秘密保護法は未来の話しじゃありませんでしたね。たいへん失礼いたしました。