2014年6月16日月曜日

100年前の山形に生まれたら、こんな大人になりたい

天童町に住む沢尻家ではご主人がそばつくりの名人で、よそに頼まれてはそば打ちに行き、ごちそうになって満足げに帰ってくることがしばしばである。――「聞き書 山形の食事」(http://goo.gl/VSHDmj
)P41より

2014年6月14日土曜日

北海道の「てんぷら」はどこから来たのか

僕は地方に行くと時間のある限り、現地のスーパーとコンビニを覗きます。もちろんご紹介いただいたり、下調べしたり、ときにはヤマカンで飲食店にも行きますが、さすがに一日中飲食店で食べてばかりというわけにもいきませんし、スーパーやコンビニに行かないとわからないことも山ほどあります。


例えば今回行った釧路は鮭、ししゃもなどの海産物を全力で推しています。市役所の外壁にも「ししゃも」「さけ」という文字の入った巨大な垂れ幕がかかっていますし、スーパーに行けば高さ200cm×幅300cmの冷蔵フェースがまるごと切り身の鮭で埋め尽くされていたりします。専用棚の数もちょっと大きなスーパーに行けば、ひとつやふたつではありません。ほかにも新巻き鮭の一本や半身の専用棚や、いくらやすじこ、たらこなど魚卵専用の棚がそこかしこに。人によっては、痛風がビュンビュン吹きそうな風情によだれが……。

お値段もすばらしくリーズナブルで、結構いい型の鮭が半身で800円、一匹1500円くらい。かなりいい型のトキシラズでも一本3000~4000円ってどういうことですか。東京にいるとほぼ全国のものは食べられますが、地方に来ると値頃感がまるで変わります。五里四方とかフードマイレージとかごちゃごちゃ言われなくても、地産地消というのは住まう人にとってやさしい仕組みなのだなあとあらためて思い知らされるわけです。














ちなみに、約100年前のでんぷんうどんのように、九州と北海道にはときどき妙な符合があります。今週釧路で知ったのは、釧路でのさつま揚げは「てんぷら」とも呼ばれていること。まるで福岡の丸天、宮崎の飫肥天、松山のじゃこ天など、九州や一部四国を想起させるような呼称でも定着しています。

小樽あたりでもそういう例があるようで、さてこの「てんぷら」は北前船由来なのか、明治期に移住した開拓民由来なのか。北前船が操業していた江戸期には、すり身を揚げたものを「てんぷら」と呼ぶ地方もすでにあったよう。相当掘らないと正解に行き当たりそうにありませんが、保存性を考えると後者の線でしょうか。いやいやしかし、茶豆における山形県鶴岡と新潟県黒崎のように(http://www.mizuho-s.com/annnatabekata/atkt136.html )人の行き来が土台となって、食べ物やその呼称が伝播するパターンはいくらでもあるわけで、機会があればこのあたりもぜひ掘ってみたいところです。















そういえば今回の旅では、以前デイリーポータルZ(http://portal.nifty.com/kiji/130825161521_2.htm )でも紹介されていた、「マフラー」「かりんとう揚」「しゅうまい揚」にも会うことができました。この3種の練り物については、釧路も室蘭も特に変わりはなさそうです。さて、味もわからないこの大量の練り物をどうしてくれようか。