2012年10月12日金曜日

IMFと和食文化とヲタク文化



ゲスト一服、銀座の食に満足げ 日本開催のIMF・世銀総会
2012.10.11 05:00   
 東京・銀座の老舗レストランが一堂に会し、国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会で来日しているゲストやその家族を対象とした試食会「IMFイン銀座」を10日、開催した。

 すしや天ぷら、日本酒など日本食から中華料理、スペイン料理まで、世界中の食文化が集まる銀座をPRしようというもので、日本食レストラン海外普及推進機構と銀座料理飲食業組合連合会が共催、11日まで開催している。

http://www.sankeibiz.jp/business/news/121011/bsd1210110501000-n1.htm

「天一」や「赤坂璃宮」「寿司幸本店」「スペインクラブ銀座」など16店舗が参加しているという、このイベント。他に「伊勢廣」「梅林」「三笠会館」「キハチ」「つばめグリル」など、名だたる名店が出店していらっしゃるようで、バランスのいい出店になったんじゃないかと思われます。

こうしたイベントに際しての出店依頼は、作業自体困難を極めることが多いと思われます。いまの「日本の食」が海外からどう見られているか考えた時に、残念ながら「放射性物質」を抜きに考えるわけにはいきません。「海外から要人を招く」とき、何らかの安心できる保証は必要不可欠。今回は形として「政府の保証」のある「一定の評価を得られた店」、「一定の規模のチェーン」を選び、交渉していった結果、このラインナップになったと思われます。

きっと当初の企画案には「星」なども、セレクト基準案として出たのかもしれませんが、「外資系のタイヤ外車にそこまで与していいのか」などの意見や、店舗から断られたりして、今回の店舗に落ち着いたという妄想がむくむくと湧いてくるわけでございます。まあ、雲の上で起きていることはよくわかりません。

「もっといい店があるじゃないか」という意見もおありでしょうが、サービスに対する満足度や味覚の基準は、主観的なものしかないので、いい落とし所だとは思います。

といっても、こういうことがあるたびに、いちいち担当さんや広告代理店さんが、東奔西走してしまうのもアレなので、そろそろ国立の料理大学とか、ポップカルチャー研究所とか、国策として研究機関を作ったほうがいいような気がします。「権威ある主観」を土台にするのではなく、客観的な事実を大量に積み重ねたものをベースにした考察を主観に導くような文化研究機関。

マンガで言うと、漫画評論家の伊藤剛さんが「ぼくら語り」「マンガ語り」から「マンガ論」へ、と言っていたのと似ているかもしれませんが、マンガにしても「(賞などの)権威による主観」×「読者の人気」がメインストリームになっている側面はありますし、その歴史的・文化的背景からしても料理よりは掘り下げやすいので、市井の研究者が育ちやすい側面もあるのかもしれません。実際、京都精華大学などは研究機関というより、養成機関という側面が強いものの、「マンガ学部」を立ち上げています。

そうした動きを国策でさらに強化して、体系的にまとめながら、発信力を強めていく。「日本食」と「マンガ」は、海外に発信しうる数少ない日本のオリジナルコンテンツです。料理にしても、バブル期などカネがジャブジャブしているうちに体系だてておけば、もっといいタイミングでユネスコの世界遺産に「和食」の登録申請が出せたのではないかという気もします。(まあ、バブル当時のムードとしては無理だったとは思いますが)
http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qaetc/20120208-OYT8T00784.htm

若者が「夢も希望も持てない」とか、それが少子化の遠因じゃないかとかあれこれテキトーな妄想は膨らますことができるにしても、「勝ち組になりたい」という若者が上を見た時に、すぐに天井が見えてしまうのは、ちょっとよろしくありません。「叩き上げ」の力が必要だとしても、対抗軸としてのエリート育成プログラムがあれば、より文化は強固に、深くなるじゃないかとか、そんな声がもうちょっと大きく聞こえてきてもいいような気がします。

海外と勝負できるジャンルに、きちんと人材を育てる土壌がないのは、やはりとてももったいなく、食文化もヲタク文化も、オリジナルコンテンツとして日本が圧勝し得る数少ないジャンルなのになあ。がんばれ、Tokyo Otaku Mode(https://www.facebook.com/tokyootakumode )なんてことを考えながら、今夜も打ち合わせと称して、夜の街へと繰り出してまいる所存です。ヒック。

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