2013年1月23日水曜日

「◯カツ」を使うとバカになる

【All About News Dig】連動エントリー
本当に増えました。「◯活」。以下の日本経済新聞「ことばオンライン」(http://www.nikkei.com/article/DGXNASDB11001_R11C12A2000000/ )にもありますが、「現代用語の基礎知識」で新設された「◯活」の項目例で見ても、「婚活」「離活」(2010年度版)、「朝活」「終活」「妊活」「保活」(2011)、「温活」「寝活」(2012)、「ソー活」「友活」(2013)などなど、次々にバリエーションが増えています。

実際、異性の友人と飲みに行って、「私、コイカツ中だから」とか、「私、カレカツ中なの」などと言われて、不思議な気持ちになったことがあります。どうもしっくり来ません。

言葉を短縮することが悪いとは言いませんし、言葉は常に変わり続けるものです。「◯活中」という言葉を真剣に使っているとしたら、ちょっと怖い気がします。というのも、この言葉のなかに「がんばってる」「だから何か協力して」という意図が省略されているような気がしてしまうからです。しかも、使う側が意図していないにも関わらず。

とりわけ、遠巻きな気持ちになりやすいのが、「だから」とセットで使われるケースです。普通に「彼氏がほしいんだけど、誰かいい人いない?」と聞かれれば、「どういう人がいい?」とかあれこれ質問する気にもなれますが、「活動中だから」と堂々と宣言されると、虫の居所が悪ければ「だから、なに?」というちょっぴり意地悪な気持ちになったりもしてしまうわけです。

その「活動」は本人が好きでやっているわけで、活動の内容はおろか概要も説明されないまま、「だから」と聞かされても、誰かを紹介してほしいのか、交際を拒絶されているのか、ホメてほしいのか、単なる世間話なのか、僕にはわかりません。なのに本人は「◯活中だから」にいろいろな意味を込めているつもりになっている。「◯活中」に続く「だから」は理由になりません。

「「活」を使えば、恥ずかしくないから」という自意識が働いているのかもしれませんが、それはある種の思考停止とも言えます。ついでに言うと、「◯活中だから」と口にする人が、望みどおりの結果を出したケースをあまり拝見しません。

知人の宣伝担当者は、一緒に企画を考えるチームにおいて「インパクト」「コンセプト」という言葉を使わないようにしています。理由は「思考停止につながるから」。その言葉を使うだけで考えたつもりになってしまう。それに加えて「◯活中だから」には「活動しているつもり」になってしまう効果も含まれている気がします。真剣に課題を解決したければ「◯活」はご利用にならないことをおすすめしつつ、せめて「だから」をセットで使うのは、やめてみてはいかがでしょうか。

ちなみにこのエントリーを書きながら、タイトルを何本か考えてみたところ、いずれもビジネス書風になってしまいました。
・「◯活」とセットで使ってはいけない言葉(採用……しかけましたが変更)
・言葉の魔法がかけられる、フルサイズ言語術(サン●ークさん風)
・カツ(勝つ)なら逆張り(石原壮一郎さん風)
・「◯活」をやめれば、自分だけの言葉が手に入る。
・「◯カツ」は損するキーワード
・「◯カツ」を使うとバカになる(採用)

……。言い過ぎですね。でも「◯活」を口にする周囲の人を見回して、「あ、苦労してるな」と思われたら、同じ用法で使うときっと苦労が絶えないのではないかとか、余計な心配をしたくなってしまうわけでございます。ま、最近、フードアクティビストとかいう、よくわからない肩書きを使っている僕が申し上げるのも大変アレではございますが。

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