2013年5月13日月曜日

テレ東の『みんな! エスパーだよ!』がすごい件

ヤバイ。2話終了時にUPしようと思って寝かしたまま、物語が佳境に入ってきてしまった。本当はちゃんと書いて、ちゃんと原稿料をもらおうと思っていたのだけれど、仕事が詰まってるので、ちゃんと書く時間がない。寝かしたまま腐らせるのも、もったいない症候群が発症してしまったので、ちょっと加筆だけして乱暴にUPします。

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テレビには「いい番組」に高確率で当たるワクがある。例えば現在、「ガリレオ」のシーズン2を放送するフジテレビの「月9」枠などがその代表格だ。「テレビを見なくなった」といわれる2000年代以降も「HERO」や「プライド」といった大ヒットドラマを生み出し、主題歌はダブルミリオン(200万枚以上)のヒット曲が何曲もある。主演も木村拓哉、香取慎吾などのSMAP勢や江口洋介、竹野内豊など絢爛豪華。近年は、王道だけでなく、サスペンス的な要素を取り入れた「大切なことはすべて君が教えてくれた」(主演:戸田恵梨香、三浦春馬)や、大泉洋をキーマンに据えて軽妙さを打ち出した「ラッキーセブン」(主演:松本潤)など、さまざまな手法を試みている。

「月9」は確かに素晴らしい。現在放送している『ガリレオ』も、福山雅治の相手役を柴咲コウから吉高由里子に変えてきた。第一期であれほどの成功をおさめたというのにかかわらず、配役を変えた。舞台裏で何があったかはわからないが、変えたこと自体、意欲的とも言える。

そしてこの数年、テレビ東京の「ドラマ24」という枠がとてもいい。『モテキ』や『勇者ヨシヒコ』シリーズを排出したいまやテレ東の看板ドラマ枠であり、今クールで放送中の『みんな! エスパーだよ!』もまた素晴らしい。『デトロイト・メタル・シティ』のヒットで知られる若杉公徳のマンガ作品が原作だが、原作を上回るデキだと言っても過言ではない。監督は園子温。「自殺サークル」や「愛のむきだし」などで数々の賞を受賞した、まさにいまノリに乗っている気鋭の映像作家だ。その面白さのツボを以下に上げておく。

ツボその1~中二臭全開の笑いとエロと共感
ドラマ版の舞台は愛知県東三河(原作は大分県野津町)にある田舎の高校という設定。そしてとにかく登場人物の男子高校生も、マキタスポーツ演じる喫茶店のマスターも、誰も彼もが中二らしい「性」にまつわる妄想を全開にしている。唯一、TEAM NACKSの安田顕のみ、性妄想とは遠い立ち位置だが、真顔で助手の女性の乳を揉みまくる。見えづらはシュールだが、乳を揉んでいることに変わりはない。

さらに夏帆と真野恵里菜に、喘ぎまくりというエロ全力投球をさせているのも素晴らしい。中二だったことがある男子誰もがあの頃を思い出し、中二に戻ることができる。「中二」を共感目線で仕上げているのだ。有名な作品しか見ていないので違っているかもしれないけど、目線が高くならないのも、この監督の作品における特徴のような気がする。

ツボその2~主題歌、エンディング曲ともに生々しい青臭さがたまらない(いい意味)
主題歌は高橋優の「(Where’s)THE SILENT MAJORITY?」
エンディングは、石崎ひゅーいの「夜間飛行」
http://www.youtube.com/watch?v=-H3BEBnz75I

最近、ドラマの主題歌がジャニーズやレコード会社ガン推しの(ように見える)アーティストばかりだったが、この二曲ともに中二っぽい青臭さが漂っている。生々しい歌声で、歌詞が青臭く、楽曲がキャッチー。つまり本来あるべきロックの姿を体現している。ちなみにエンディング(ED)のカット割りは毎回、異なっている。そういえば、『最高の離婚』のEDもそうだったが、かけなくても成立するところに手をかけるドラマには良作が多い。監督はじめスタッフの熱意があってこそ、そこまで手がかけられるのだ。

そういえば園子温は、映画『愛のむきだし』のテーマ曲にゆらゆら帝国の「空洞」を選んでいた。新興宗教をモチーフとしたこの作品が公開されたのは2009年。もうオウム報道など皆無で、前時代的とも言えるモチーフに、「空洞です」は強力にハマっていた。曲の雰囲気も1970年代の「俺たちは天使だ!」の主題歌「男達のメロディ」(SHOGUN)をどことなく彷彿とさせた。

ちなみに「男達~」の曲の構成はAメロ(兼サビ)とBメロのみ。「空洞です」に至ってはAメロ兼サビのみ。現代のポップスでは、Aメロ/Bメロ/サビ/Cメロくらいの展開があるのがふつうだ。しかし、園子温はそうした定型的な曲を選ばない。正確に言うと、結果として定型にハマる曲も選ぶこともあるのだろうが、挿入歌を選ぶときの視点が決定的に違う気がする。

2000年の『自殺サークル』では作中での暗喩のモチーフとして、小中学生をメンバーとしたアイドルグループの歌を流し、すかんちのローリー寺西の弾き語りのシーンなども盛りこんだ。「音楽」に聞き耳を立てるだけでも園子温の作品は楽しめる。しかも登場する音楽のすべてが、作品と連動している。映像作品に必要であり、必然性のある音楽をセレクトしている。


ツボその3~作品を貫く、園子温という一貫性
「人間」というとても個人的なものを社会というフィルターを通して描く。それが園子温の手法だ。2000年公開の『自殺サークル』では刑事であり、ひとりの父親を通して社会の歪みを描いた。この作品では「あなたとあなたの関係は?」という生きる上での本質的な問いかけが、全体を貫くキーワードになっていた。『自殺サークル』が「生きることの本質」を描こうとした作品なら、『みんな! エスパーだよ』には中二男子に共通する夢が詰まっている。

と、まだまだ書きたいことはあるけど、ちょっとだけ加筆してタイムアップ。放送中なので、あとは本編をご覧あれ。テレビ東京で視聴可能な方は、毎週金曜日の24時過ぎから。できれば、見逃し配信か何か利用して第一話から見てほしい。

テレビ東京『みんな! エスパーだよ!』公式HP
http://www.tv-tokyo.co.jp/esper/

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