2015年1月4日日曜日

お参りの長い人は何をお願いしているのか(新年、あけましておめでとうございます)

この10年くらい、神社へのお参りをわりとちゃんとやるようになりました。実は僕が初詣にまつわる作法あれこれを知ったのは30歳を過ぎてからでした。当初は大人のたしなみを知っておくという意識もあった気もしますし、自営業者やフリーランスとしての願掛け的な意味もありました。そして実際に正しいお参りや詣で方をするようになると、確かに心持ちが変わるのです。といっても、いわゆる"オカルト"的なものではありません(そういうのも好きではあるんですが、いったん置いておきます)。

初詣というと「△△できますように」とお願いごとをする人が多いのでしょうか。僕も以前はそうでした。でもここしばらくは初詣の際「お願いごと」はしていません。以前、ある宮司さんから初詣とは「誓い」の場であるという話を伺ったことがあります。ものすごくざっくり言うと、神様の前で自らに「制約と誓約」((C)HUNTER×HUNTER)を課す。そうして立てた誓約に沿って行動すると、ご利益を受けやすい環境が整う。そういうもののようです。といってもせっかくごあいさつに伺うわけですから、「神様とお近づきに(仲良く)」なろうとはしています。「苦しいときの神頼み」と言いますが、やっぱり神様からも覚えがいいほうが、ここ一番でいいことがありそうな気もしますし。

というわけで、今年の元旦も、近所の氏神様と明治神宮と花園神社に新年のごあいさつに行って参りました。初詣の目的は新年のごあいさつとともに、去年のおふだを納めて、新しいおふだを受けること。神棚を祀っている方はよくご存じだと思いますが、神棚のおふだにはいくつか種類があります。

・受けるおふだは3種類
自宅や職場の神棚にまつるおふだはたいていの場合、3種類程度。まず、全国共通の「神宮大麻」、そして地域を守る鎮守様=氏神様のおふだ、それに崇敬神社のおふだの3種類です。「神宮大麻」はほぼ全国の神社にありますから、氏神様のおふだと合わせた2種類は近所の神社で入手できます。崇敬神社は地縁と関係なく、個人的に「いいな」と思う神社を自由に崇めることができるので、お気に入りの神社で入手されるといいと思います。八百万(やおよろず)の神々は基本的に仲がいいというお話なので、それぞれ自分の暮らしにご利益がありそうな神様を頼ればいいようです。

ちなみに僕は「芸道」の神様である新宿の花園神社を崇敬神社としています。執筆・編集業は広義では「芸」となるので、出版業界にはこちらに新年のあいさつをされる方がけっこういらっしゃいます。ちなみに境内にある摂社の芸能浅間神社も、演劇や歌曲など芸能関係の奉納が多いことで有名です。実はこのブログを書くにあたって、花園神社のHPを確認したところ、なんと御祭神は酒造の神様としても知られる木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤヒメ)! Wikipediaによれば全国に約1300ある「浅間神社」に祀られているということをいまさらながらに知りました。このところ、公私ともに酒漬けなので、今後ともまじめにお参りしていこうと心に誓った次第であります。

ここ最近の僕の定番コースとしては、近所の氏神様で「神宮大麻」と氏神様のおふだを受けつつ初詣。そこから移動して明治神宮に参拝→移動して花園神社の本殿と境内にある芸能浅間神社にもお参りしつつ、花園神社のおふだを受けます。おふだは神様との間をとりもつチャネルのようなものだと解釈しているので、おふだがあればいいという方もいらっしゃりそうですが、ごあいさつをしたほうがチャネルがより効果的に機能しそうな気がします(逆もまた真なり)。このあたりは人間関係と似たようなものだと勝手に解釈しています。

・お参りのお作法
さて実際のお参りですが、手水舎(ちょうずや)でのお清めなど、基本的な作法はなるべく行います。ちなみにYouTubeなどを見ていると、手水舎でのお浄めの作法もいろいろあるようですが、左手→右手→口→柄杓の柄の順という作法が好きです(https://www.youtube.com/watch?v=-omlG4JBuOw)。

・「お参りが長い」その理由
その後、本殿前の賽銭箱にお賽銭を入れ、二礼二拍手一礼となるわけですが、いろいろご存じの方はこの後のごあいさつが長い。でも仕方がありません。新年くらいはきちんとごあいさつしなければ。僕の場合、新年のあいさつは、たとえば次のような口上を脳内で黙読しています。

「●●様(①神様の名前) あけましておめでとうございます。私、東京都✗✗(②住所:地番、部屋番号まで)に住まっております、③昭和64年④酉年11月17日生まれの⑤松浦達也と申します。⑥本日は新年のごあいさつに伺いました。⑦旧年中はたいへんなご加護を賜り、誠にありがとうございました。⑧本年も仕事に✗✗(その年のテーマ)に精進してまいる所存ですので、⑨引き続きご加護を賜われれば幸甚でございます。最後に⑩●●様(神様)のご健勝、ご清栄、ご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。⑪それでは本日はこれにて失礼致します」

意味もなく生まれ年でサバを読んでみましたが、だいたい普段のお参りからこれくらいの情報量を盛り込んでいます。分解すると
①神様の名前(神社名や地方で立ち寄ったとき、名前がよくわからなければ「神様」と呼ぶことも)
②自分の住所(八百万ネットワークで検索してもらいやすいように)
③生年月日(個人ID)
④干支(個人IDが格納してあるであろう神様のフォルダ検索仕様)
⑤氏名
⑥本日立ち寄った経緯(たまたま、旅先、所用なども含む)
⑦昨年の御礼(「いつも」などのパターンも)
⑧誓約
⑨ご加護依頼
⑩僭越ながら神様へもエール(そのほうが喜ばれるらしい)
⑪〆のあいさつ

というのが基本パターンです。「どうか✗✗できますように」という"お願い"ではなく、自分の身分を明らかにしながらごあいさつをする。そして前年の誓約の達成度に思いを馳せながら、今年の誓いを立てつつ、相手(神様)の事情にも心を配る。どうやったって30秒以上かかります。実はこのパターン、以前、ある宮司さんから伺った神様相手のあいさつのフォーマットに則ったものですが、重要なのは⑧の「誓約」の前に、⑦の「御礼」があること。ここで去年の誓約の達成度とも向き合うことになります。ふだんのお参りなら、日常の「振り返り」の行為にもなるわけです。

つまり、神社とのお付き合いのなかには、自然にPDCAサイクル的な要素が含まれているわけで、ビジネス系の駄本を読むくらいだったら神社に行ったほうが気分もよくなりますし、そもそもビジネス書の目次を思い返すと、並んでいるのはおみくじのような文言。ならばおみくじでいいじゃないかと思いつつ、本年のおみくじを見返してみました。


左の花園神社のおみくじはもうおっしゃるとおりで、「自分のネットワークをフル稼働させ、正直にそして真摯に前へ進め。ヤバいと思ったら止まって考えましょう。あ、ズルもあきませんよ」というような感じでしょうか。一方、右の明治神宮のおみくじの解釈は悩みました。まあ「国民の自覚を強くし責任を重んじる」となると、できるかぎり多くの税金を払うくらいのことしか思い浮かびません。というわけで、本年もささやかながら法人税と消費税をお支払いできるよう、仕事をがんばってまいろうと思う次第でございます。

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